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22. 婚約解消する?しない?
しおりを挟む今、婚約は解消しないとハッキリ言いきりましたか?
円城寺さんは何事も無かったのようにまたお茶を飲まれています。
「婚約を解消しない理由を聞いても良いですか?」
占一さんが表情を固くして円城寺さんに質問します。
「私は占一さんを気に入っているからです。だから婚約を解消したくありません。」
まあ、普通の理由ですよね。だけど…一度も会った事が無いのに気に入っているっていうのは少し変じゃないですか?
何回も会ってこそ気が合うとか、趣味が合うとかわかるんですよね?
会った事がないお見合いだと、写真やプロフィールを見て終わりでしょ…。
えっ?顔や肩書きが気に入っているってことですか?!
いや、まあそれもアリだとは思いますけど…。
これは最近気がついたのですが占一さんは自分の顔の事を他人から言われる事が嫌いみたいなんですよね。僅かに表情が歪むというか…。
それなのにこの展開はどうなるんだろう。
「気に入ってもらえるような付き合いをした覚えが全く無いのですが?」
あ~、やっぱり。目が笑っていないイケメンスマイルが出ましたよ。内心は怒っている感じですね。
「私…実はお見合いの前に一度だけ占一さんにお会いした事があるんです。覚えていらっしゃらないとは思いますが…。」
「え?それはいつですか。」
「お見合いの1年くらい前です。突然降った雨の中倒れた私を立ち上がらせてくれて、ご自分のさしていた傘を私にくださったんです。」
少し頬を赤くして思い出す様にゆっくりと話しています。なるほどそんな事をイケメンにされたら一撃で恋に撃沈です。
「雨…。あっ、あの時の?!えっ?」
占一さんもその時の事を思い出した様ですね。
「私はあの時…占一さんを好きになってしまったんです。だからお父様にお願いして占一さんを探してもらいました。偶然にもお父様と関係する会社のご子息だとわかり、婚約をしていただいたのです。」
え~と、一途な感じを出していますがやっていることはストーカーみたいですが大丈夫なのですか?しかも身元を調べただけで終わらず婚約まで…。
一目惚れ恐るべし!!!
やっぱり一目惚れをする人は行動力がありますよね。私には無いものなので羨ましいような気もしますが…。一目惚れされた人にとっては怖いかもしれませんね。
ん?なんか忘れているような…。
あっ!そうですよ!!会社のご子息という言葉が気になっていたんでした。やっぱり占一さんは裕福な家庭の息子さんだったんですね!
「たいした事はしていません。それに教えてもらうまで円城寺さんに気がつかなかったのに…そんな奴が良いんですか?」
イケメンスマイルが消えて無表情ですよ占一さん。裏の顔が出てますよ!
おそらくですが…これまで何回か同じ様な一目惚れをされてきたのではないかと思われます。
これは占一さんには内緒でメル友になった谷岡さんによる情報からの推測です。
女性関係は拗らせていると情報を得ています。
まあ、いつも占一さんの女性関係の話をした後に「僕なら心配ないからいつでも僕に乗り換えて良いからね~。」とメールが送られて来るので信用できない感じが漂う人なのですが嘘つきではないと思っているんです。
だから占一さんに一目惚れの話をするのは"私を嫌って下さい。"と言っている様なものだと思うのです。
円城寺さん…そこまで調べておかないとダメですよ。
「私にとってはそんな事ではありません。占一さんがヒーローに見えたのですから。」
その時の映像を予測してみると…確かに雨の中傘もささずに走り去るイケメンと雨に濡れ佇む美人…。うん、絵になるわ。
「見えただけで本物はヒーローとは違いますよ。」
「そんなことはありません。」
お互いに譲らない感じですか?
これだとこの話を終わらす事が難しいと思います。ここは私が会話の流れを変えないとダメなのかな?
ふと目を円城寺さんの方に向けるとお茶がもう無くなっていることに気がつきました。
これだ!
「あの…お茶のおかわりをお持ちしますね。」
私はコップを持ってキッチンに向かった。
「にゃ~ん。」
「白玉先輩!お久しぶり。どこに行ってたの?」
ここ最近会社に姿を見せなかった白玉先輩が久しぶり姿を見せて私の足元にすり寄ってきてくれます。
「待ってくだいね。後でおやつを出しますね。」
「な~。」
急いでお茶を入れて部屋に戻ると白玉先輩が部屋の中に入っていました。
「あ、あの…私は猫が苦手で…。」
円城寺さんは猫が苦手な様子で顔色が青くなっています。
「失礼しました。すぐに部屋から出します。」
私が白玉先輩を抱き上げようとしたら横から占一さんが抱き上げてしまいました。
「この猫は僕の大事な家族です。ですから猫が苦手な人とは結婚もできません。ですからやはり婚約は解消してください。」
おお~!!占一さん荒業に出ましたね。
円城寺さんは何て言うのかな?
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