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16. 娘さんの鑑定でました
しおりを挟む「あら…今日は受付の方も部屋にいらっしゃるの?」
常連のお客様は私が気になるんですね。
「はい。女性のお客様の時は彼女にも一緒にはいってもらうようにしたんです。色々とうるさい時代になりましたからね。」
社長は予定どおりの言葉で説明している。聞かれることは想定内です。
「まあ、そんな他人行儀ね~。別に私達の仲なら気を遣わなくても宜しいのに。」
どんな仲ですか?ただのお客様ですよね。そういう事を言う人の方が怖いって知っていますよ。
「そういうわけにはいきません。お客様は平等にしないと…。」
なにげにお客様を強調しています。向こうは身内になりたい人ですからね。
「あら…そう。」
お客様は少しムッとした感じですが、笑顔は崩していません。
「そうだわ!今日は娘の運命の人わ占ってほしくてきましたのよ。きっと近くにいるんじゃないかと…私、ピンときましたの。」
いや、貴方は占い師?!
なに?ピンときた?!
霊感でもあるんですか?
それならここで占いを受けなくてもご自身の勘を頼れば良いかと思います。
「…わかりました。占ってみますね。こちらにお名前と生年月日と血液型をお書きください。」
社長は娘さんにペンと紙を渡した。
「娘は書道を習わせていて字がとても綺麗なんですよ。それに接客の仕事を長くしておりますから、もっと早く前の受付の方が辞められたのを知っていれば娘を越させましたのに~。残念ですわ~。」
この人…私にケンカをうってる?さっきから私のこともチラチラと見ていますよね。
確かに綺麗な娘さんだと思いますが…。
スタイルも良くて色白で目はパッチリしていて黒目がちで睫毛も長くて、唇は少しぽってりしていて…私とは違って色気もありますが…。
私…勝てるところがないですね。
え?なんでこの人は彼氏がいないの?
性格に難ありなの?
それとも理想が高い?
仕事が好きすぎるから彼氏はいらない人?
それとも私と同じダメンズを捕まえる人?!
いや、世の中でこの人レベルの女性が良い男に相手にされないなら私は異性の眼中にも入りませんよ。
今更ながら社長の恋人役にはかなりの無理を感じてきました。大丈夫かな?
「貴女は占一先生とは前からのお知り合いですか?」
質問キター!
ここは社長との打ち合わせ通りにいきたいと思います。
「…はい。」
私は笑顔で答えました。笑顔…ひきつってないよね?
「まあ、そうなの。どういったご関係かしら?」
思ってた質問またキター!!
「プライベートな事ですので…。申し訳ありませんが答えかねます。」
「まあ!私と先生の仲をご存じないの!?」
いや、だからどんな仲ですか?
離れて鑑定を行っていた社長がチラリとこちらを向いた。
「葉山さん、質問にお答えして良いよ。」
きました~!社長からのGOの合図です。
「実は…占一の婚約者なんです。」
少し言いにくそうに口元に手をあててお答えさせてもらいましたよ。
「「ええ!!」」
親子揃って驚きの声いただきましたー!!
社長と話し合って婚約者に頼まれて手伝いに来ていると言うことにしたんですよね。その方が諦めてくれるだろう予想したんです。
どうなのかな…?
「先生に婚約者がいらっしゃるなんて初めて聞きましたわ。」
そうでしょうね。今日決まりましたから。
「やっぱり…そうよね。」
娘さんはポツリと諦めの言葉がでていますよ。
何だか私と同じダメンズを捕まえる人の様な気がしてきました。プンプン匂いますね。
「いつ婚約しましたの?」
はい!またまたきましたよ~!!!
「婚約したのは今年なんです…。」
出逢ったのも今年です~。
「あら、まだ婚約したばかりなのね。それなら…。」
ん?思っていた反応とは少し違う気がしますけど大丈夫かな。
「お待たせしました。鑑定が終わりました。」
社長が鑑定用紙を持って帰ってきました。
「どうでした?」
娘さんよりもお母様の方が気になっているんですね。
「まずは…姓名判断からですね。お名前は誰かに見てつけられてはいないんですか?」
「ええ。この子が産まれた時は占いをしたことがなかったので自分達でつけました。」
「そうですか…。」
何だか含みのある言い方ですね。悪かったって事かな?
「お名前の画数を全部足した総画数は非常に良いのですが…他の画数が良くないんですよね。」
「「え?!」」
また2人同時に驚きましたよ。仲が良いな~。
「しかも反対の意味を持っている画数がありケンカをしている状態で…精神的に辛いのではないかと思います。特に恋愛は惚れっぽい所もありますが、感情の起伏が激しいので上手くいきにくいとでています。お見合いの方が恋愛は上手くいくみたいですよ。」
名前でそんなことまでわかるの?!
娘さんはこの結果をどう思っているのかな?
チラリと娘さんの様子を見てみた。
口を開けてポカンとしているけど…納得しているみたいだ。頷いています。
「え、そうなんですよ。すぐに相手を好きって思うんですけど冷めるのも早いというか…。相手が同じくらいの愛情を返してくれないと納得できないんです。…凄い…名前だけでわかるんですね。」
あ~、惚れっぽい女性が熱を帯びた視線を社長に向けていますけど…大丈夫なのかな?
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