7 / 42
7. やばさしか感じません
しおりを挟む「あれ…イメチェンしたの?雰囲気が変わったね。」
会社に出社して早々に社長が私の変化に気がついてくれました。
やはりモテる男は違うわ。女心が理解できてるよ。細かい変化に気がついて、それを誉めてくれるなんて…。
「わかりますか?ちょっと気分を変えてみようかと思いまして…。」
夜に営業している美容院を探して髪の毛のカラーを黒からアッシュブラウンにして、10センチくらい切ったんです。
切ったのは傷んでいたからだけですが…。
お化粧も韓国風メイクの動画を見ながら練習してみたんだけど自分でも驚くくらい雰囲気は変化したと思う。
いや~、女って手をかけるとこんなに変わることができるのだと自分で確認できました。
洋服も黒のスーツと白のブラウスではなくて、水色のパステルカラーワンピースに白のジャケットを合わせてみました。
私的には大冒険したんです。
いつもは黒、白、グレー、紺のルーティンだったので…。
「良く似合ってる。お客様に好印象だと思うよ。」
「へへっ…。そうですか。ありがとうございます。」
異性から誉められることなんてないから照れるわ。
「今日の予定なんだけど…。」
「はい。」
いよいよ仕事が始まるのね。
「予約が3件入っているから、当日に来られても受け付けないで下さい。」
「え?3件だけで終わりですか。」
少なくない?人気…なんだよね?
「僕は1人に時間をかけるタイプの占い師だからね。2時間かかることも多いんだ。」
「え?!そんなにですか。」
街角で見かける占い師なんて5分いくらとかでやっていたよね。凄い差だわ。
占いに興味が無かったから何が普通かはよくわからないけど…。
だけど待って…件数が少ないということは料金がお高いから大丈夫ということか。そういえばまだ料金表みたいなのを見ていない。
「あの…私は事務員も兼ねているんですよね?占いの料金ってどうなっているんですか?」
気になるよね。
「ああ、人によって違うからその時に書いて渡すよ。」
へ?人によって違う。
物凄く高い雰囲気が漂っていますが、これは聞かない方が良いのかも。
「…わかりました。よろしくお願いします。」
そういえば幼い頃に母に連れられて行っていた占い師でも壺を高額で押し付けられたり、お札を高額で買わされたりしていたな…と思い出してしまった。
本当にここは大丈夫なんだよね?
私の占いに対する不信感が拭えない。
「今…怪しいって思ってるよね?」
「へ?」
嘘、声に出てた!?
「顔が面白いくらい百面相してるよ。今は眉間に皺がよってる。」
社長が私の眉間に自分の人差し指を当てて笑っている。
くぅ~!イケメンの爽やか笑顔の破壊力が凄すぎます!!
「え!…いや、そんな事は…。」
「葉山さんは顔に出やすいタイプの人なんだね。可愛いな~。」
な、何だこのイケメン!
可愛い…って、私を可愛いって…サラッと口にした!これは言いなれているよね。
女の戦いがおきる原因は間違いなく社長のその態度で女性達が勘違いするからだと思いますよ。
「あっ、そろそろお客様が来る時間だ。あの人は紅茶が好きだから用意してもらえるかな?」
まるで何事もなかったかの様にイケメン社長は仕事場の奥の扉の中に消えていった。
私…大丈夫かな。
イケメンのあの対応に慣れてしまったら今後の男性に対するハードルが上がるんじゃない?
始める前から婚活の危機じゃない?!
私は頭の中でパニックを起こしながらも紅茶の準備を始めた。
キッチンに行くと沢山の種類の飲み物が用意されている。紅茶もダージリン、アッサムなど何種類もある。何のためにこんなにあるんだろうと思って社長に聞いたら「お客様の好みを集めているから増えたんだ。」と言われた。
くぅ~、イケメンめ、気遣いもできるのか!
その時はそこまでするんだなと感心したんだけどね…。用意する立場になると大変だよ。
今日のお客様はストレートのダージリンって聞いているので簡単で良いけど…。
これは本格的にお茶の入れ方でも習わないと駄目かもしれない。
まあ、1人になったんで時間は有り余ってますからね。
お湯を沸かし始めるとお客様が来店されたのでお部屋まで案内した。
今日のお客様は年配の女性だ。足が悪いのか杖を使って歩かれていた。
イケメン社長は笑顔で女性をソファーまでエスコートしています。
…やばさしか感じません。
これを毎日見るのか…間違いなく私の中の異性に対するハードルが上がるよ。
世の中にはドラマの中に出てくる様な人も実在するんだね。私は今まで狭い世界で生きていたんだとわかります。
でもそうなると余計に気になるのは…。
なんであのイケメン社長は私を運命の人なんて言ってからかったのだろうか?
私が言われたことをそのまま信じるタイプの人間だったらどうするつもりだったんだろう?
もしかして…今までもずっとそうだったのかな。
ぐるぐると色んな事を考えていると不意に猫の鳴き声が聞こえてきました。
「ミャー。」
白玉です。
「おはよう白玉。」
「ミャー。」
因みに白玉は女の子らしいです。
「ナー。」
白玉と一緒にもう一匹猫がいます。全身真っ黒な凛々しい感じのする黒猫です。
「もしかして…白玉の彼氏とか?」
「ミャー。」
白玉が返事をします。
「え!嘘、私…白玉に負けているのか。」
私の目の前で仲睦まじく毛繕いしている2匹…。
…いや、羨ましくなんか…あります。
やっぱり早めに婚活するべきなのかな~!?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
25
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる