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78. お母様の話 〈星蘭の母視点〉
しおりを挟む「貴方~!貴方~!!」
目の前で愛する旦那様が切られ殺された。
側に行きたい、離せ、離せ!いくらもがいても私を掴む手の力はゆるまない。
私は引きずられる様に自宅から連れ出された。
愛する旦那と子供を残して…。
星蘭が見つからなかったのがせめてもの救いだわ。
こんなことをする人は一人しか思いつかない。きっとあの女だ…。私が秘密を知ってしまったから。いっそのこと私を殺してくれれば良いのになぜ生かしているのだろうか。
私をずっと支え助けてくれていた旦那様…。初めは護衛としてだったけど、いつしか愛する人になった。そして子供を授かり幸せに暮らしていたのに…。そんな私の幸せを壊したあの女を許さない。
どれくらいの時間がたったのだろう。目隠しを外されて辺りを見回すと真っ暗で目が慣れるのに時間がかかった。
慣れてくるとやっとここがどこか分かってきた。
どうやら、ここは地下室らしい。蝋燭の灯りしかない窓もない暗い部屋。かろうじてベッドはあるものの他には何もない。
この部屋で考えるのは旦那様と星蘭の事。私がいなくなってどうしているだろう。泣いていないだろうか、お腹をすかせていないだろうか。
生きているだろうか…。
私は生きて星蘭に会えるのだろうか…。
毎日、一食だけ食事が運ばれてくる。死なない程度の食事が…。
あの女は姿を直接見せる事は無かったが、上からあの女のかん高い声が聞こえる事が何回もあった。
なぜ私を殺さないの…。
あの女の秘密は皇帝に知られると死刑は免れないだろう。あの女も女の一族もだ。
私はたまたまあの女が話しているのを聞いてしまっただけ…。
「フフッ…、本当にバカよね。自分の子供ではないと知らずに可愛がっているんだもの…。私が愛しているのはあの人だけ…。だけどあの人は地位もなくお金もない。仕方ないから地位もお金もある皇帝に嫁いだけど…毎日が退屈でしかたないわ。」
その日、私はお忍びで町中に出ていた。お茶をしようと店に入り、先程の会話を耳にしてしまった。
まさか…と思い話の主が個室から出てくるまで待ってみた。すると中から出てきたのは男にしなだれかかりながら歩いている義理の姉だった。
あちらも私に気がついて血の気がひいた顔で私につめよってきた。
「貴女…いつからいたの!」
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