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64. 誰が書いた?
しおりを挟む本屋についたら電気は消えていて閉店している様子に見える。…大丈夫だよね。
本屋の前で中に向かって呼びかけた。
「本を予約したものですが…」
店主の男性から今度店に来た時は店の中に向かって先程の言葉を呼びかける様にと言われていたのだ。
しばらくすると、中から店主の男性が出てきた。
「はいはい、お待ちしておりました。どうぞ…」
薄暗い店の中に通された。
昼間きた時に店の中を見ていたからだいたいは分かるけど…。
ガン…。ドカ…。
「痛い…」
茉央は初めてだから薄暗い店内で色々なところをぶつけているみたい。はっきり見えないから音と茉央の声からの予想だけどね。
店主の男性は気を付けて下さいねと小さな灯りをつけた。
そのまま店の奥へと進んで行く。扉を何回か通り抜けて最後は壁にしか見えない所を触り始めた。
何をしているんだろう?
すると…ゴゴゴゴゴッと凄い音がし始めた。
驚いた!
壁が移動して部屋が現れた。中は本棚が沢山あり全て本で埋まっている。
「これは全て禁止図書ですか?」
「はい。本来ならこんな簡単にはお見せすることはありませんが、お客様は私の知り合いに良く似ていましたので、悪い人ではないだろうと思いまして…。特別ですよ。」
私が言うことではないとは思うけど…そんな理由で大丈夫なの?
でも今はそんな事を気にしている場合ではないわよね。
危険図書の中から探している本を見つけないとね。
茉央はもう本を手にとって見ている事に気がついた。
やるわね茉央。
私も負けじと近くの本を手にとって見た。
「じゃあ、気が済んだら声をかけて下さいね。私は店内でまだすることがありますので」
店主はそういって部屋から出て行った。
「何これ?」
本の題名が"消された皇女"。
中を読むと1人の皇女が突然姿を消し死亡したと偽装されたのは何故か?!と書いてある。これってお母様の事よね…。
「茉央、これを見てもらえる?」
茉央を呼んで本を見てもらった。
「これは…どうしてこんな事まで書かれているのかしら。おかしい…」
茉央は中を読んで何かが気になっているみたい。私が気になっているのはお母様の本なのかどうかと言うことなんだけど…。
「それってお母様の事よね?」
茉央は本から目を離さず答えた。
「…はい。そうみたいです」
余程中に書いてある事が気になるのね。いつも話す時は人の目を見なさいって言っているのにね。
すると茉央が急に顔をあげた。
「星蘭様…これ…この本は誰か身近な人が書いた本としか思えません」
「え?」
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