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45. ピンチです
しおりを挟むまだ曨範様とのやり取り続行中です。
この人は何が知りたいのでしょうか?
曹操様の事?
それとも…私の事?
どちらにしても本当の事は言えませんけどね。
「ねぇ…本当の事を教えてくれたらこれをあげるよ」
曨範様が取り出したのは大きな宝石でした。
私がお金に目が眩んで話すと思っているのかしら。
「いりません。…というか本当も何も先程から話しているではありませんか。嘘ではありません!」
やや声を大きめにして誰かに気がついてもらおうとしていた。
海様気がついて来てくれないかな。
「そんな大きな声を出して誰かに助けてもらおうとしているの?」
ば、ばれてる!
もう、早く海様来なさいよ!
「どうしたのですか?」
そこに現れたのは見たことがない女性だった。
この場所に女性がいる?
普段は私以外の女性を見たことがなかったので不思議に思った。
誰だろう…。
「曨範…いい加減になさい。そんな若い女性をからかってはいけないわよ」
曨範様を叱っているということは身分が高い人だよね?
「いえ、少し聞きたいことがあり聞いていただけですよ」
あんなにしつこかった曨範様が私の側から離れていき女性の側立つと、女性の手を優しく掴みあげて手の甲に口づけをした。
「姫…今日も会いに来てくださり嬉しい限りです」
…姫!!!
この人が?!
私と同じ黒髪で瞳の色は少しグレーがかっていて少しつり目がちがちだ。
顔の印象がきつく見えるくらい。
私は姫と呼ばれるその人を見た時不思議な感じがした。
何だろう…この人を見たことがあるような気がする。
いつだったのか、どこで会ったのかは分からないけど…。
でも、素性を隠している今はお会いしたことがありますよね?とも聞けないわ。
そして私は思い出した、まだ挨拶をしていない事に…慌てて姫と呼ばれるその人に挨拶をする。
「挨拶が遅くなり申し訳ございません。曹操様のお部屋の掃除に来ております星と申します」
「あら、曹操の部屋の掃除にきているのね。知らなかったわ。曹操てば私に内緒にしていたのね」
これは曹操様が怒られてしまう感じなのかしら?
「私は曹操様の御姉様の蘭宝様から申し付けられてお部屋の掃除に来ておりますので断りにくかったのだろうと思われます」
姫と呼ばれる人は私をじっと見て近づいてきた。
「貴女…曹操を庇おうとしているの」
私の髪に手を触れて握っては落とすの繰り返しをしている。
もしかして、怒っている?
顔は笑顔で声は明るい感じだけど…この人…怒っているんだわ。
「貴女…」
どうしよう!
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