27 / 86
27. 皇女の話
しおりを挟む食堂でおかみさんと客が何だか物騒な話をしている。盗み聞きなんていけないと思いつつも気になって聞いてしまう。
「また何で顔を傷つけたんだい?確かに気性は荒い方だとは聞いてるけどさ好きなんだろ?その許嫁…」
「ここだけの話だが…どうやら海外留学ってのは嘘で皇女と結婚するのが嫌で逃げ出したらしいぜ…。それで見つかって腹いせに皇女が切りつけたらしい」
「そうなのかい…。しかし凄いね、何も切らなくても…傷は残らなけりゃ良いけどさ」
「いや、ザックリと切られたらしく頬に傷は残るらしい。だけど傷のおかげで結婚の話しは消えたみたいだけど愛妾として遣えないといけないみたいだぜ…可哀想にな。まだ16歳になったばかりだろ?」
そうなんだ…。同じ歳でそんな目に合った人がいるのね。
しかし、皇女って気性が荒く怖い方だと聞いてはいたけれど…そこまでする人だとは思わなかったわ。
まあ、接点はないから良いんだけど。
だけど昔お母様が話していた事がきになるのよね。
「星蘭…都に行くときは必ず顔を隠しなさい。皇居にも近づいてはいけません。王族の人達に呼ばれても逃げなさい。絶対に中に入ってはダメよ!」
お母様は何度も繰り返し私に話していた。
あれは今考えればおかしいわよね。
庶民が王族に呼ばれる事なんて普通に考えれば無いだろうし、顔を隠す必要もなぜなのかは教えてくれなかったし…。
きっと、そこに秘密があるのよね。
今まで探っても何も得られなかったのは皇族と関係があったからかもしれない…。
じゃあ…私がしないといけないことは…。
…皇族に近づく事。
茉央に相談した方が良いかもしれない。
茉央は昔に皇族と関係のある仕事をしていたと人から聞いた事がある。
不思議なことに本人は絶対に口にしないのだけど。
何か嫌な思い出でもあるのかと思って聞くのを止めたんだよね。
でも、皇族に近づく為には知っている人に聞くのが一番だと思うし、帰ってすぐに聞いてみよう。
きっかけは…そうだなさっき聞いた話をしてそれからお母様の話しをして聞き出そうかしら。
私は急いで家に帰った。
「茉央聞いて~!」
「大声で何ですか星蘭様…」
夕食の準備をしていた茉央が顔だけを私に向けた。
「さっきね、食堂の前で凄い話を聞いたんだ」
「凄い話ですか?」
「うん。皇女さんの話なんだけど…」
皇女と口にした途端に茉央の顔色が青く変化した。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
裏切りの代償~嗤った幼馴染と浮気をした元婚約者はやがて~
柚木ゆず
恋愛
※6月10日、リュシー編が完結いたしました。明日11日よりフィリップ編の後編を、後編完結後はフィリップの父(侯爵家当主)のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
婚約者のフィリップ様はわたしの幼馴染・ナタリーと浮気をしていて、ナタリーと結婚をしたいから婚約を解消しろと言い出した。
こんなことを平然と口にできる人に、未練なんてない。なので即座に受け入れ、私達の関係はこうして終わりを告げた。
「わたくしはこの方と幸せになって、貴方とは正反対の人生を過ごすわ。……フィリップ様、まいりましょう」
そうしてナタリーは幸せそうに去ったのだけれど、それは無理だと思うわ。
だって、浮気をする人はいずれまた――
離縁の脅威、恐怖の日々
月食ぱんな
恋愛
貴族同士は結婚して三年。二人の間に子が出来なければ離縁、もしくは夫が愛人を持つ事が許されている。そんな中、公爵家に嫁いで結婚四年目。二十歳になったリディアは子どもが出来す、離縁に怯えていた。夫であるフェリクスは昔と変わらず、リディアに優しく接してくれているように見える。けれど彼のちょっとした言動が、「完璧な妻ではない」と、まるで自分を責めているように思えてしまい、リディアはどんどん病んでいくのであった。題名はホラーですがほのぼのです。
※物語の設定上、不妊に悩む女性に対し、心無い発言に思われる部分もあるかと思います。フィクションだと割り切ってお読み頂けると幸いです。
※なろう様、ノベマ!様でも掲載中です。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる