男装少女は復讐を誓う

縁 遊

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27. 皇女の話

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食堂でおかみさんと客が何だか物騒な話をしている。盗み聞きなんていけないと思いつつも気になって聞いてしまう。

「また何で顔を傷つけたんだい?確かに気性は荒い方だとは聞いてるけどさ好きなんだろ?その許嫁…」

「ここだけの話だが…どうやら海外留学ってのは嘘で皇女と結婚するのが嫌で逃げ出したらしいぜ…。それで見つかって腹いせに皇女が切りつけたらしい」

「そうなのかい…。しかし凄いね、何も切らなくても…傷は残らなけりゃ良いけどさ」

「いや、ザックリと切られたらしく頬に傷は残るらしい。だけど傷のおかげで結婚の話しは消えたみたいだけど愛妾として遣えないといけないみたいだぜ…可哀想にな。まだ16歳になったばかりだろ?」

そうなんだ…。同じ歳でそんな目に合った人がいるのね。

しかし、皇女って気性が荒く怖い方だと聞いてはいたけれど…そこまでする人だとは思わなかったわ。

まあ、接点はないから良いんだけど。

だけど昔お母様が話していた事がきになるのよね。

「星蘭…都に行くときは必ず顔を隠しなさい。皇居にも近づいてはいけません。王族の人達に呼ばれても逃げなさい。絶対に中に入ってはダメよ!」

お母様は何度も繰り返し私に話していた。

あれは今考えればおかしいわよね。

庶民が王族に呼ばれる事なんて普通に考えれば無いだろうし、顔を隠す必要もなぜなのかは教えてくれなかったし…。

きっと、そこに秘密があるのよね。

今まで探っても何も得られなかったのは皇族と関係があったからかもしれない…。

じゃあ…私がしないといけないことは…。

…皇族に近づく事。

茉央に相談した方が良いかもしれない。

茉央は昔に皇族と関係のある仕事をしていたと人から聞いた事がある。

不思議なことに本人は絶対に口にしないのだけど。

何か嫌な思い出でもあるのかと思って聞くのを止めたんだよね。

でも、皇族に近づく為には知っている人に聞くのが一番だと思うし、帰ってすぐに聞いてみよう。

きっかけは…そうだなさっき聞いた話をしてそれからお母様の話しをして聞き出そうかしら。

私は急いで家に帰った。

「茉央聞いて~!」

「大声で何ですか星蘭様…」

夕食の準備をしていた茉央が顔だけを私に向けた。

「さっきね、食堂の前で凄い話を聞いたんだ」

「凄い話ですか?」

「うん。皇女さんの話なんだけど…」

皇女と口にした途端に茉央の顔色が青く変化した。
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