男装少女は復讐を誓う

縁 遊

文字の大きさ
上 下
19 / 86

19. 変なお客様

しおりを挟む


昼御飯の恥ずかしい時間も終わり…また仕事の時間だ。

私は表に立たない約束で雇われているので裏方の仕事を行う。

今からは部屋の掃除をする。昨日使用された部屋のベッドメイキングと床掃除、拭き掃除だ。

昼からは青晶と部屋を分担してやっている。

良かった…今は一緒に居たくない気持ちが大きい。本当の兄妹なら別に普通の事かもしれないけど、違うから!分かっていてする青晶が今までとは別人に見えてしまう。まあ、女装しているんだけどね。

問題は夜だよ!

だって同じ部屋、同じベッドで寝るんだよ!

兄妹って事になっているから…。

春華さんが一緒の方が寂しくないだろうからって気を効かせてくれたみたいなんだけど…春華さん恨みます。

村にいる時は同じベッドに寝ることなんて何とも思わなかったけど、何でこんなにドキドキするんだろう?

青晶は友達なのに…。

最近の青晶は手を繋いで寝ようとする。

寝にくいから止めようと言ったら悲しそうな顔をするので結局いつも手を繋ぐことになる。

そして朝には青晶の腕の中で目が覚めて驚く…この繰り返し。青晶は寝ぼけててごねんね…って言うけど怪しいよね。

春華さんに言って部屋を分けてもらうか、寝相が悪いからとでも言ってベッドを2つにしてもらうかした方が熟睡できるかも。

まあ、青晶と一緒だと温かくて良いんだけど…。

「星蘭、部屋の掃除は終わりそうかい?」

春華さんが部屋にやって来た。

「はい。後はゴミを片付けたら終わりです。お客様ですか?」

「そうなんだよ、まだ早いからと言ったんだけど、ややこしいお客みたいでさ…はぁ~」

春華さんが大きな溜め息をついている。そんなに変なお客様なんだ。

「じゃあ、呼んで来るよ…。部屋から出ときなよ」

「はい!」

私は急いでゴミを片付けて部屋から出ると、ちょうど春華さんがお客様を連れてやってきた。

30歳代くらいの爽やかそうな男の人…身なりも良さそうな感じなんだけど…春華さんは何を嫌がっていたんだろうか。

あまり顔を見られない様に立ち去ろうとすると、いきなり男性に腕を掴まれた。

「待って!」

私は抱えていたシーツを床に落としてしまった。

「何か御用ですか?」

男の人は私の顔をじっと見ている。

茉央が居たら怒られただろうな。顔をあまり人前に曝すなと言われていたからね。誰が私達を探しているのかは知らないが茉央はいつも人の目を気にしていたから。村は例外だったみたいだけど。

「君のご両親は?」

何をいきなり聞いてくるんだ?

「…亡くなりましたけど」

「兄弟はいる?」

この場合は青晶と兄妹としておいた方が良いのかな…。

「妹がいますが…それが何か?」

「いや…私の知り合いに凄くよく似ていたから驚いてしまってね。急に腕を掴んで申し訳なかった、すまん」

男の人は私に謝った。

珍しい…身分が高そうな人なのに私に謝るなんて。

この人は一体何者なんだろうか?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】今夜さよならをします

たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。 あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。 だったら婚約解消いたしましょう。 シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。 よくある婚約解消の話です。 そして新しい恋を見つける話。 なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!! ★すみません。 長編へと変更させていただきます。 書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。 いつも読んでいただきありがとうございます!

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。 異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。 幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。 その事実を1番隣でいつも見ていた。 一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。 25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。 これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。 何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは… 完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません

しげむろ ゆうき
恋愛
 ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。  しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。  だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。 ○○sideあり 全20話

【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。

たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。 わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。 ううん、もう見るのも嫌だった。 結婚して1年を過ぎた。 政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。 なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。 見ようとしない。 わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。 義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。 わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。 そして彼は側室を迎えた。 拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。 ただそれがオリエに伝わることは…… とても設定はゆるいお話です。 短編から長編へ変更しました。 すみません

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった

神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》 「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」 婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。 全3話完結

処理中です...