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16. 青晶の思い 〈青晶視点〉
しおりを挟む最近酷く頭が痛む日が増えた。
これって記憶が戻るのかな…。
僕は今の生活を気に入っているんだけどな。
それに…星蘭が一緒にいてくれるし…。
お爺の所で目を覚ましてから気がつけば星蘭がずっと側にいてくれて面倒を見てくれた。
感謝しているし今では一番の友達だと思っていた。
さっきまでは…。
あの見覚えのある男達を見てから僕の様子がおかしいのに気がついたのか星蘭が僕を村から連れ出してくれた。まあ、女装をさせられたのは恥ずかしいけど…きっと僕を助ける為だと思うから我慢した。
問題はその後だよ。
鄭さんって言う星蘭の昔の知り合いに会ってから疑問だらけになったんだ。
星蘭の事を「お嬢様」って鄭さんは言ってるし、星蘭も訂正しないで会話をしていた。僕の頭は?マークだらけだったよ。
星蘭って男の子じゃないの?
女の子なの?
星蘭って本当はお金持ちの家の子供なの?
なぜ性別を偽りこんな山奥の村に住んでいるの?
聞きたいことは沢山あったけど我慢した。
鄭さんって言う人の宿屋についてから1つだけは絶対に聞こうと心に決めて。
宿屋の部屋に入って2人きりになってから星蘭に尋ねた。
「…星蘭は男じゃなくて女なの?」
僕にとっては一番重要な質問だ。
そしたらあっさりと星蘭は女の子だって認めた。
僕は大喜びしたい気持ちを押さえた。
星蘭が部屋を出ていった後…僕はガッツポーズをした。
だって僕は星蘭が女の子だと知って嬉しかったんだ。
前から優しいし綺麗だし…星蘭が女の子なら僕のお嫁さんになって欲しいくらいだなと思っていたんだ。
だけど男の子だから友達だと…。
だって僕は子孫を残さないといけない、跡継ぎを作らないと怒られるんだ…。
…誰に?
あれ?
これって…僕は誰に怒られるの?
なぜ跡継ぎを作らないといけないの?
…分からない…思い出せない。
「貴方はあの人と結婚し跡継ぎを作るのが仕事なのよ…」
これは誰が言っていたの…?
この声の女性は誰?
頭が痛い…。
曹操(そうそう)良いわね…よく聞きなさい…。
貴方は……に選ばれたのよ…。
ところどころ途切れた音声が頭の中で再生されている。画像は乱れて砂嵐状態だ。
曹操って僕の名前かな?
僕は誰に選ばれたの?
頭の痛みに耐えられずベッドに横になった。
やっぱり鄭さんは僕の過去に会っている人なんじゃないかな?だから記憶が刺激されているんじゃ…。
「…痛い」
でも、せっかく星蘭が女の子だと分かって嬉しかったのに…もしかしたら僕には婚約者がいるのかもしれない…。
だとすればこの思いは絶対に星蘭に言えない…。
このままではいけないのかな。
記憶をなくした僕と星蘭とで家を借りて生活をする。そんな夢は見てはいけないのだろうか…。
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