男装少女は復讐を誓う

縁 遊

文字の大きさ
上 下
16 / 86

16. 青晶の思い 〈青晶視点〉

しおりを挟む


最近酷く頭が痛む日が増えた。

これって記憶が戻るのかな…。

僕は今の生活を気に入っているんだけどな。

それに…星蘭が一緒にいてくれるし…。

お爺の所で目を覚ましてから気がつけば星蘭がずっと側にいてくれて面倒を見てくれた。

感謝しているし今では一番の友達だと思っていた。

さっきまでは…。

あの見覚えのある男達を見てから僕の様子がおかしいのに気がついたのか星蘭が僕を村から連れ出してくれた。まあ、女装をさせられたのは恥ずかしいけど…きっと僕を助ける為だと思うから我慢した。

問題はその後だよ。

鄭さんって言う星蘭の昔の知り合いに会ってから疑問だらけになったんだ。

星蘭の事を「お嬢様」って鄭さんは言ってるし、星蘭も訂正しないで会話をしていた。僕の頭は?マークだらけだったよ。

星蘭って男の子じゃないの?

女の子なの?

星蘭って本当はお金持ちの家の子供なの?

なぜ性別を偽りこんな山奥の村に住んでいるの?

聞きたいことは沢山あったけど我慢した。

鄭さんって言う人の宿屋についてから1つだけは絶対に聞こうと心に決めて。

宿屋の部屋に入って2人きりになってから星蘭に尋ねた。

「…星蘭は男じゃなくて女なの?」

僕にとっては一番重要な質問だ。

そしたらあっさりと星蘭は女の子だって認めた。

僕は大喜びしたい気持ちを押さえた。

星蘭が部屋を出ていった後…僕はガッツポーズをした。

だって僕は星蘭が女の子だと知って嬉しかったんだ。

前から優しいし綺麗だし…星蘭が女の子なら僕のお嫁さんになって欲しいくらいだなと思っていたんだ。

だけど男の子だから友達だと…。

だって僕は子孫を残さないといけない、跡継ぎを作らないと怒られるんだ…。

…誰に?

あれ?

これって…僕は誰に怒られるの?

なぜ跡継ぎを作らないといけないの?

…分からない…思い出せない。

「貴方はあの人と結婚し跡継ぎを作るのが仕事なのよ…」

これは誰が言っていたの…?

この声の女性は誰?

頭が痛い…。

曹操(そうそう)良いわね…よく聞きなさい…。

貴方は……に選ばれたのよ…。

ところどころ途切れた音声が頭の中で再生されている。画像は乱れて砂嵐状態だ。

曹操って僕の名前かな?

僕は誰に選ばれたの?

頭の痛みに耐えられずベッドに横になった。

やっぱり鄭さんは僕の過去に会っている人なんじゃないかな?だから記憶が刺激されているんじゃ…。

「…痛い」

でも、せっかく星蘭が女の子だと分かって嬉しかったのに…もしかしたら僕には婚約者がいるのかもしれない…。

だとすればこの思いは絶対に星蘭に言えない…。

このままではいけないのかな。

記憶をなくした僕と星蘭とで家を借りて生活をする。そんな夢は見てはいけないのだろうか…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】今夜さよならをします

たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。 あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。 だったら婚約解消いたしましょう。 シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。 よくある婚約解消の話です。 そして新しい恋を見つける話。 なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!! ★すみません。 長編へと変更させていただきます。 書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。 いつも読んでいただきありがとうございます!

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。 異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。 幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。 その事実を1番隣でいつも見ていた。 一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。 25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。 これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。 何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは… 完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

婚約をなかったことにしてみたら…

宵闇 月
恋愛
忘れ物を取りに音楽室に行くと婚約者とその義妹が睦み合ってました。 この婚約をなかったことにしてみましょう。 ※ 更新はかなりゆっくりです。

【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。

たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。 わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。 ううん、もう見るのも嫌だった。 結婚して1年を過ぎた。 政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。 なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。 見ようとしない。 わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。 義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。 わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。 そして彼は側室を迎えた。 拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。 ただそれがオリエに伝わることは…… とても設定はゆるいお話です。 短編から長編へ変更しました。 すみません

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

処理中です...