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5. 初めての口づけは薬草の味
しおりを挟む「どうする…大人を呼んでくるか?」
秀峯はどうしたら良いか迷っているみたいだ。
「取りあえず…傷を確かめよう。このままにしておくと命の危険があるかもしれない」
私の父親の様に…。
「そ、そうか…そうだな…」
秀峯は男の子の血のついた服を脱がせた。
「お腹の所…刺されてるな。止血しないと…。秀峯、この傷を服の上から押さえててくれる」
「分かった」
私は父の事があってから、医学について独学だが学んでいる。今ではかなり薬草などにも詳しくなって村の人からも頼られることもあるくらいだ。
たしかこの辺りに止血に良い薬草があったはずなんだけど…。
川から少し離れた森の中に薬草があることは分かっていた。前から薬草を探しながら歩いていたのだ。
急いで薬草を採取して秀峯達の所へ戻った。
川の水で綺麗に洗い、綺麗に洗った石で薬草をすり潰した。
魚が釣れた時様に持ってきていたバケツに水を入れて、拾ってきた木の枝で火をおこして湯を沸かした。
自分の着ていた服を少し破き、湯に浸してから固くしぼった。それで傷口付近を綺麗にふいた。
「身体が熱い…熱があるのか」
「やっぱり誰か呼んでくる」
秀峯が立ち上がり村の方へ走っていった。
私は川の中の冷えた石を拾い、男の子の脇の下や首筋にあてた。
そうすれば熱が下がりやすいと聞いたことがあったからだ。
しかし、まだ苦しそうにしていて熱も下がらない。
誰かが来る前に死んでしまったら…。
そう思うと怖くなり、急いで解熱効果のある薬草を探した。
幸いにもすぐに見つかったので、すり潰し男の子に飲ませようとしたが…飲み込まずに口から出てきてしまう。
「嫌だ…僕を殺さないで…おかあさま…」
男の子が苦しそうにしながらも言葉をはいた。
この子はお母様に殺されそうになったの?
そんな事って…。
私は熱にうなされ苦しんでいる、この男の子を救いたかったから、男の子の手を握り「大丈夫よ。安心して」と優しく話しかけた。
顔に張り付いた髪の毛を優しく撫で、上から覆い被さる様に抱きしめて男の子の耳元で「苦しまないで、必ず助けるから安心してこのお薬を飲んで…」と話しかけたが、やはり口元に薬を入れようとしても飲んでくれない。
もう、あれしかないのね…。
昔にお医者様がしているのを1度だけ見たことがある方法…これはしたくなかったのだけど。
人の命には変えられないわね。
私は解熱効果のある薬草を口に含み、そのまま男の子の鼻をつまみ口を開けさせ…口づけをした。薬草を男の子の口にいれ鼻をつまんでいた手を離して口を閉じさせるために顎を下から上に押しあげる。
私の口の中にも薬草の苦い味が広がる。
初めての口づけは薬草の味か…。
男の子も薬を飲み込んでくれた様子だ。
「おーい、星蘭!大丈夫かー!」
ホッとしたところで村の大人を連れて秀峯が帰って来た。
助かれば良いのだけど…。
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