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63. ハイリの野望 〈ハイリ視点〉
しおりを挟む燃えろ燃えろ全て燃えてしまえ!!
ハイリは森が燃えていくのを見ていた。
森には火を消そうとしている人物の姿が見える。
お前も燃えてしまえ…アデル…。
この火は簡単には消えないぞ…なんといっても神様特製のものだからな…。
お前がいくら頑張ってもすぐには消えるはずがないんだよ。
お前の領地が全て灰になるまでに消せれば良いけどな…。
ハハハハハッ!!
「何が可笑しいんだ?」
横にいた神様が話しかけてきた。
「いえ…いつもすました顔のアイツが必死になっているのが可笑しくて、笑えるのです」
「そうか…」
本当に神様が力を貸してくれたおかげでアイツのあんな顔が見られた。
俺が神様と出会ったのは2年前くらいの話だ。
当時の俺は兄や隣国の王子達と比べて勉強や魔法も出来なかった。
その事で父上や周りの貴族達から嫌味を言われ、毎日が地獄だった。
唯一の俺の味方は母上だけだったのだ。
母上はいつも俺に…大丈夫、焦ることはないわよ、貴方はやれば出来る子なのだから…母は信じていますよ…と優しく言ってくれていた。
母上も辛い立場だったろうに…。
俺の母は正室ではなく側室だった。
正室の王妃が産んだのは兄1人…。
下の兄弟は全て側室の子供…母違いの兄弟になる。
だから、俺達兄弟は競うようにして育てられた。
2年前…その優しかった俺の母上が亡くなった…。
俺は悲しくて、辛くて、行き場のないどす黒い感情が俺の身体の中を支配していて…暴れまわった。
そうすることで、気をまぎらわそうとしたのだ。
だが、父上はそんな俺を王族と失格だと言った…。
王族は肉親が亡くなっても悲しむ事も許されないのか!と父上に言ったが父上の答えは…そうだ…の一言だった。
王族は感情を表にだしてはいけない。
王族は貴族になめられてはいけない。
王族は皆の手本となるように振る舞わなければならない。
何故、感情を出してはいけない…手本にならなければいけないんだ…王族だって人間だ!
こんなことを守らないといけないのならば…王族なんて…やってられるか。
そう思った時、神様が俺の前に突然あらわれた。
「お前は面白そうだから、俺が力を貸してやろう」
初めて会ったあの時は驚いたが…。
今はその神様のおかげで嫌いな奴らを痛め付ける事が出来る。
俺は神様に選ばれた男…。
神様の力を借りれば何でもできる。
これは、俺が頂点に立つための始まり…世界を手に入れる為の始まりだ。
もっと派手に大きく燃え上がれ!
森を全部やきつくせ!
アイツも燃やしてしまえ!
そして、世界中の奴に俺の偉大さを示してやれ!
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