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34. 満月の夜 再び 〈アデル視点〉
しおりを挟むあ~。待ちに待った満月の夜がやっときたよ。
長かったよ~。
サファイアと言葉を交わせるのが満月の夜だけなんて酷いよね。
今日の為に色々と準備はしたんだ。
サファイアに聞きながらやったけど、不思議そうな顔をしてたよ…。
…その顔がまた可愛いのなんのって…。
その内に、いつもの百面相し始めてさ…もちろん録画したよ。
後で楽しむんだ。フフッ…。
今日は、人間の姿のサファイアも撮影するつもりなんだよね。
あんなに可愛い姿が満月の夜だけしか見られないなんて…酷いよね。
何回も言うけど…。
いつでも、人間の姿のサファイアを見れる様に、撮影しておけば良いということに気がついた時は、僕って天才かと思ったよ。
それに、いろんな姿のサファイアが見たいのでドレスもアクセサリーもいっぱい用意したよ。
今から楽しみで仕方ないよ。
サファイアがウトウトし始めたね。
月の光があたる所に移動しようね。
僕は抱きかかえて頬擦りした。
やっぱり、思ってた通りだ。
月の光を浴びたらサファイアが光始めた。
さぁ、愛しいサファイア…早く人間になるんだよ。
光が収まると、前と同じで人間の姿のサファイアがいた。
しかも、僕の腕の中に…。
し、幸せだ…。
「あの~、なぜ私は抱きしめられているんでしょうか?」
あ~、可愛い声だね。
「すいません。つい…」
やっぱり、離さないとダメか…。
「また、アデル様のお屋敷にお邪魔させて頂いているんですか…私?」
猫の時の事を覚えていないから、そうなるよね…。
僕が離そうとした時、慌てて執事がやってきた。
「お楽しみの所申し訳ございませんが、お客様がいらっしゃっています」
邪魔しないで欲しいんだけどなぁ~。
誰だよ客って!
「わかった。行くから客間で待ってもらって」
僕は、しぶしぶ、返事した。
「いえ、それが…もうここに…いらっしゃいます…」
執事は言いにくそうに話した。
はぁー!?不躾な奴だな誰だよ…と思っていたら、扉から男が現れた。
「夜分にお伺いして申し訳ありません。私、クルシュナ=ナラジアと申します。妹のサファイアがこちらにいると聞きまして会いにきました。」
サファイアのお兄さん!
「お兄様!生きてらしたのね」
サファイアが兄に抱きついて泣いている。
いいなぁ~。
僕にもギュッと抱きついてくれないかな…。
おっと、それどころじゃないね、頭を切り替えないといけない。
「誰からサファイアがここにいると聞いたのですか?」
誰か情報を漏らしているのか?
「私は動物達と話すことができます。動物達から聞いたのです」
何と!羨ましいーー!!
その能力があれば猫のサファイアとも会話できる。
いいなぁ~。
いかん、いかん。頭を切り替えて…。
「あなた達、兄妹に一体何があったのですか?良ければお聞かせ下さいませんか?」
サファイアは何も覚えていないしね。
「…わかりました。私達の味方になって下さるのでしたら、お話しをします」
サファイアの兄、クルシュナが話し出した…。
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