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32. ハイリ再び 〈ハイリ視点〉
しおりを挟むガシャーン!!パリン!グワシャ!!
イライラする!イライラする!!
どいつも、こいつも役立たずばっかりだ!!
何で思うようにいかないんだ!
今まで俺の思い通りにならなかった事なんかなかったんだ!
いくら部屋にある壺や置物を壊しても気が晴れない。
「ハイリ様…凄い音がしていますがお怪我はありませんか?」
執事が心配して、部屋の扉の向こうから話しかけてくる。
「大丈夫だよ。何かあれば、僕が呼ぶから向こうに行っててくれる?」
ここでは気をつけないといけないんだったな…。
ここは落ち着かないな…。
やっぱり、別邸が一番落ち着く…。
アイツらが上手くやらないからこっちに顔を出して良い人を演じないといけないじゃないか!
せっかく、俺がサファイアを見つけ出す簡単な方法をアイツらに教えたのに…失敗しやがって…。
本当に使えない。
火事までおこしても見つけることができないなんて…。
神様に何て報告するんだ?
神様が教えて下さった方法でもだめだったなんて報告できない…。
あの神様の機嫌を損ねると俺の命も危なくなるぞ…。
とりあえずは、火事の件を騒ぎにならないように、適当な犯人を連れてきて終わりにさせよう。
火事であぶり出し作戦は中止だ。
別の作戦を考えなければいけないな。
神様には暫く黙っていたほうが良いかもしれない。
俺はサファイアに傷をつけたくない。
火事のことも本当は嫌だった。
火傷をしたらどうするんだ…と思ったからな。
俺の花嫁は傷ひとつない女じゃないとダメなんだ。
傷をつけるれるのは俺だけなんだから…。
「何を思い出して笑っているんだ?」
この声は…。
「神様…どうされたのですか?」
いつもは俺が呼び出さないと姿をあらわさないくせに…。
「ククッ…お前があまりにも苛ついているから、良いことを教えてやろうと思ってな」
「良いことですか…?」
何だ?今頃良いこと教えてやるだと…。
「お前達は人間を捜しているのだろ?それでは、いつまでたっても見つからないぞ」
神様はニヤリとしながら言った。
「どういう事ですか?」
サファイアは人間だが?
「言葉のままの意味だ。そこからは自分達で考えろ」
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「ヒントは、あの少女の能力と兄だ」
そう言うと姿を消してしまった。
そこまで言うなら教えてくれても良いだろ!
サファイアの能力と兄か…。
兄は魔力が凄く幼い頃から有名な奴だった。
魔法省に誘われていたぐらいだった。
妹は動物に愛される能力がある…。
2つを合わせる…?
……人ではない何か…。
動物に姿を変えた…?
いや、もしそうだとしても範囲が広すぎる…どうやって見つけるんだよ。
…魔力…そうか魔力だ!
兄の魔力を辿っていけば見つけらる!
フ…ハハハハハ!
待っていろよクルシュナ!
今度こそお前の息の根を止めてやるからな!
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