神様!モフモフに囲まれることを希望しましたが自分がモフモフになるなんて聞いてません

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27. 危険な相手 〈アデル視点〉

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ア~!
できればサファイアと離れたくないんだけどな…。

何でこんな時に国境付近で火事が頻発しているのかな?

空気だって乾燥する時期ではないし、例年こんな時期に火事なんてあまりおこらなかったよね。

やはり人為的なものなのかな?

だとして、火事を起こしてなんの得になるんだ?

隣国から攻めてくるなら村ごと燃やしてしまうだろうし…。

火事になったのは教会や宿屋ばかり、そこに何かの意図が感じられる。

教会と宿屋に共通するものは…。

…人が来る場所。

しかも、色々な人達がやって来る場所だ。

誰かを捜しているのか、もしくは殺そうとしているのか?

殺すなら全員殺して終わりだな。

火事にするメリットは…。

殺さず、生かしたまま捕らえることができる…。

あぶり出しか…。

火事をおこせば皆が外に出てくる。

宿屋なら、1部屋ごとに確認する手間が省けるし、教会なら匿っているかもしれないから火事をおこした方が捜しやすいな。

犯人を捜すなら、火事になる前に人捜しをしていた奴を見つけたほうが良いかな。


「すいません、少しお聞きしたいのですが。よろしいですか?」

声をかけたのは、燃えてしまった宿屋の主人だ。

「なんだい…」

「火事になる前、宿屋に人捜しに来た人はいませんでしたか?」

「あ?何だ…そんな事が火事と関係があるのか?」

「あるかもしれないのです。だから思い出して頂けませんか?」

「いた…いたよ!火事がおこる少し前に男が来た」

宿屋の主人は少し考えた後、急にうつむいていた顔を上げて話しだした。

「あっ、そうだ。…確かに来たよ。少女を捜しているっていう男が…」

「ご主人は何と答えたのですか?」

「母子で泊まっていた客の娘が、男が話した少女に似ていると思ったから、いるかもしれないと答えたんだ」

「いつも、そんな簡単に教えるのですか?」

宿屋としてはどうなんだ?セキュリティーがなっていないだろう。

「いや、あの時は自分の娘が誘拐されたから捜しているんだ、泣きながら言われたから教えてたんだ」

…簡単に信じるんだな。

「どんな特徴を言っていたのですか?」

「シルバーグレーの長い髪で青い目をした、可愛いらしい少女だと言われたよ…」

「………。」

僕にはすぐに誰を捜していたのかがわかった…。


 ………サファイアを捜しているんだ。


サファイアを見つけるために火事までおこすのか?

手段を選ばないんだね…。
それだけ危険な相手という事か…。

サファイアに家から出ないように言ったのは正解だったよ。


「男の顔を覚えていますか?」

「覚えているけど…もうこの世にいないよ」

「え?」

「昨日、遺体で見つかったから…。顔を見た時に、見覚えがあるなぁ…と思ってたんだよ。今、あんたに言われて思い出したんだあの男だった」

やられた…。

死人に口なし。

やり方が手慣れてるね。プロかな?

「そうなんですね。教えて頂いてありがとうございました」

僕はお礼を言いながら宿屋の主人にお金を渡した。
復興の足しになればと少し多めに…。


良い情報も貰ったしね…。


僕の可愛いサファイアを狙っている奴がいる。


猫の姿にされているのも、記憶を無くしているのもそいつらが関係していると考えて間違いないだろう。

僕の可愛いサファイアに何かしたら…フフフッ…。

想像しただけで腸が煮えくり返るね。

僕の可愛いサファイア…。
僕が守ってあげるからね。
心配いらないよ。


その代わりに帰ったら、一緒に入浴しようね。


君が、嫌がりながらも僕に身を委ねるしかできない…あの姿を見るのが堪らなく好きなんだ…。


…あぁ、今から楽しみだよ。








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