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16. 満月の夜 ②
しおりを挟むえ?
あれ?
どういうこと?
もう、朝になっています。
しかも、いつものようにご主人様の腕の中です。
…もちろん猫の姿ですよ。
昨日の夜、お風呂に入れられて…なんとかご主人様を振り切り森に行ったよね…?
それから…どうなった?
え~と、思い出せ私。
森に行った。
月が綺麗だったので見上げて見てたよね。
そしたら、急に眠たくなってきて…。
…寝たな…。寝たよ…。
そこから、まったく何も覚えていない。
嘘でしょ!
それになんでご主人様と一緒に寝ているの?
まさか…ご主人様に人間の姿を見られていないよね?
「サファイア…どうしたの?」
ご主人様が起きちゃったよ。
「今日も、可愛いね。サファイア…」
気のせいかな…?
ご主人様の雰囲気がいつもより甘い感じがする。
私を撫でている手がなんか…私の毛の中に手をいれてみたり、顔の辺りで止めてみたり…それにご主人様が私を見る顔が…いつもと違うんですけど…。
分かりやすく言えば、前世で見ていた恋愛ドラマの恋人達がやっているような甘いやりとりなんですけど!
何があった、昨夜!
怖いよ!
何で私、何も覚えていないの!
これ、たぶん…ご主人様と何かあったんじゃないですか?
ひょっとして、人間の姿の私、妖艶な美女とか絶世の美少女とかなの?!
「サファイア、また何か考えている?百面相してるよ。可愛い…」
ご主人様が両手で私の顔を包んで見つめています。
うわぁ~。甘すぎて前世でも恋愛経験のない私にはイケメンに見つめられているだけで、耐えられませんけど~。
チュッ…。
ん???
私が悶えている間に、ご主人様何をしましたか?
何か変な音が…?
あれ?ご主人様の顔がやけに近い…。
チュッ。
「ニャーアアア!」
ご主人様が猫の…私の…おでこにキスしたー!
ハァハァ…息がヤバイ、ガンバレ私の心臓!
また、ご主人様の顔が近づいてくる!
ここは、全力で阻止します。
私の心臓を守らねば!
短いけど前足で…。
ご主人様の顔を押し返すよ!
「残念、もうさせてくれないの?…サファイアに近づくには不意打ちが良いんだね。覚えておくね」
覚えなくて良いです。忘れて下さい。
本当にどうしたのご主人様?
私の心臓がヤバイんですけど…。
トキメキのドキドキで殺されるよ。
ご主人様の猫殺し!
ここまでのことを考えたら、やっぱり昨日の夜に何かがあったのは確かだよ…。
私は全然覚えていないけど…。
魔女のクマナさんなら、わかったりするのかな?
それとも、誰か見ていなかったのかな?
長老さんとか?
ダメか…。長老さんは外から帰ってきたらすぐに寝ちゃうもんな。
ザジさんは…。
起きてたかな?ダメもとで聞いてみようかな。
昨日の夜のご主人様の行動。
そして昨日、出来なかったモフモフタイムを…。
昨日入浴したから今日はフワフワがマックス状態で絶好のモフモフ具合になっているはず。
「隙ありだよ」
チュッ。
「ニャーアアアアアァー!!!!!」
ご主人様、私を殺す気ですね。
ドキドキが…心臓が…ヤバイ…。
パタン…。
「あれ?」
「サファイア?」
「どうしたの?」
「寝たの?」
「…やりすぎたみたいだね。ごめんね」
この時、ご主人様に抱き抱えられて、またおでこにキスされたと知ったのは何日も後のことでした。
教訓、イケメンのキスは凶器になります。
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