14 / 88
14. 西の魔女さん
しおりを挟む『すいませんスーさん。案内をお願いしてしまって…』
『いいのよ。私も西の魔女に久しぶりに会いたいと思っていたからね』
長老さんが昨日のうちに、娘のスーさんに話をしてくれていたらしく、屋敷までわざわざ迎えに来てくれのだ。
どうやら、西の魔女さんのお家は、私が最初に目覚めた森の中にあるみたいだ。
懐かしいなー。日が過ぎるのはあっという間だなと思っていた。
もし、あの日に長老さんと出会わなければ、私はどうなっていたんだろうか?
きっとあのまま餓死ってこともありうる…。
本当に長老さんとの出会いに感謝です。
ひょっとして、長老さんはあの日、西の魔女さんのお家に行った帰りだったのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、西の魔女さんのお家に到着した。
『クマナ婆ちゃ~ん。居る~?』
スーさんが扉の前で呼び掛けた。
「誰だい?」
扉が開いて、白髪の腰が曲がった女性が出てきた。
「おや、久しぶりだね。スー」
『久しぶり。クマナ婆ちゃん』
「そっちの子は、はじめましてだね」
『はじめまして。私はサファイアと言います。今日はお聞きしたいことがあってスーさんに連れてきてもらいました』
「そうなのかい。まぁ、小さな家だが2人とも入りなさい。ミルクくらい出すよ」
ヤッター!ミルク!
…って嬉しいけど、今は問題解決が先だよね。
…スーさん、もう飲んでる。
美味しそう。
じゃあ、私も一口…って、違うよね、問題解決が先だよね。
食べ物とモフモフに弱すぎだよね、私…。
「で、私に何が聞きたいんだい?」
どうしようかな、魔女さんには嘘をつかずに本当の事を話した方が良いような気がするんだよね。
スーさんも聞いてるけど…。
おかしい猫と思われても仕方ない!ここは正直に話そう。
『あの~、実は…私…人間の服が欲しいのですが…』
「何に使うんだい?」
『…自分用なんです』
「あんた、本当は人間なのかい?」
驚かないんだね。わかるのかな?
スーさんはミルクに夢中で聞こえてないかな?
『私もよく、わからないんですけど…神様が満月の夜だけ人間の姿になるって言うので…』
「…それで、あんたから変な魔力を感じるんだね」
やっぱり、魔力がある人は感じるんだね。私にかけられた魔法の魔力。
「服なら私の若い時の服をあげるよ。持っていきな。魔法で小さくしてやるから、着るときは呪文を唱えるんだよ」
『ありがとうございます。助かります。』
そうなんだよ。服を持って帰っても私が人間の服を隠していたらどう考えても、おかしいなと思ってたんです。
助かります。これで悩み事も1つ解決。
ん?でも、クマナさんの若い頃の服?
大丈夫かな…。
『それと、次の満月っていつなのかを教えてもらえますか?』
「明日だよ」
『え?!え~と…』
「明日だよ!」
『…明日ですか…』
「ああ。明日が満月だよ。大丈夫かい?」
『………。』
か・み・さ・ま~~!!!(怒)
ひょっとして、ギリギリ伝えたから私に怒られると思ってすぐに通信を切ったの!!
信じられない…。
長老さんに相談してなかったらヤバかったじゃん。
もしも…が本当になるところだったよ。
ご主人様のベッドに入り込む謎の裸女…。
シャレにならないよ~!
フッ、神様やってくれましたね。
フフッ…今度の通信を楽しみにしてますよ…神様。
10
お気に入りに追加
165
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる