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7. 猫の集会
しおりを挟む前日の決心を実行に移すべく、長老さんに一緒に町へ連れて行ってほしいとお願いをしました。
長老さんは自分から離れないことを条件に連れて行ってくれることになりました。
『今日はちょうど〈猫の集会〉の日だからみんなに紹介するには良い日じゃ』
『猫の集会?』
『今頃の時期の夕方に、この地域の猫達が一つの場所に集まって色々と話をするんじゃよ』
そうなんだ。
そういえば猫の集会って前世でも聞いたことがあるな…。
でも、楽しみだよ。
モフモフさんたちが集まるんだよね。
ぐふっ…いけないヨダレが…。
『お嬢ちゃん、何だか…顔が違っているぞ…。大丈夫か?』
…大丈夫です。気にしないで下さい。
夕方にご飯を食べてから長老さんと一緒にこっそり家から出た。
ドキドキするよ。何だか悪いことをしているみたいだ。
でも、夕暮れのお散歩って気持ち良いです。
しばらく歩くと目の前に大きな広場が見えてきた。猫さん達も集まってきているみたい。
うわ~、モフモフパラダイスだ~。
長老さんが来たのがわかると数匹の猫さんが近づいてきた。
『父さん、もうみんな集まっているよ』
『そうか、待たせたな。では、始めよう』
たぶん、息子さんだと思われる、黒色と茶色の混ざった毛色の猫さんが、集まって来ている皆さんに向かって話を始めた。
『始めるぞ!今日は新人紹介からだ。』
長老さんが私に前にくるように言った。
『今、わしと同じ屋敷に住んでいる
サファイアだ。この町に来たばかりで何もわからないから皆、親切にしてやってくれ。頼む』
『サファイアです。皆さんよろしくお願いします。仲良くしてもらえると嬉しいです』
「「「「「ニャ~」」」」」
皆さんの声が広場に響いた。
『皆が了解したあかしじゃよ』
嬉しい。モフモフさんに仲間認定されたよ。
すると、私の近くに真っ黒な毛色の猫さんがやって来た。
『私は長老の娘のスーよ。よろしくね』
長老さんの娘さん美人!
『サファイアです。スーさん、よろしくお願いします』
『さっき、話をしていたのが私の一番上の兄でルークよ。困ったことがあったらルークに何でも言うと良いわよ』
『ありがとうございます』
私がスーさんと話しをていると、ルークさんの気になる話が聞こえてきた。
『今日は見合いの日でもある。気になる奴がいたらちゃんと話をするんだぞ。ケンカはするな、わかったか!』
「「「「「「ニャー!!!」」」」」」
なんか気合いがはいってるのが声からもわかる。
今日は見合いの日?
猫さん達の恋愛模様…。
猫さん版お見合いパーティーですか!
是非とも見学させて頂きたいです。
若者グループと思われる猫さん達の方に行こうとしたら長老さんに首根っこを甘噛みされました。
『わしから離れるなと言ったじゃろ。お嬢ちゃんにはまだ、早い。あいつらを邪魔しちゃいかんよ』
リアルモフモフさんお見合いパーティー…。
みたい、見たい、見・た・い~!!!
『邪魔するなら帰ろう。紹介もすんだしな』
結局、長老さんに引きずられて帰りました。
帰ったらご主人様が私がいないのを心配して探していました。
心配させてごめんなさいご主人様。
でも…見たかったよ…
リアルモフモフさんお見合いパーティー…。
感傷にひたり泣いていると…
あれ?
デジャブかな?
後ろから人影が…。
「お外に出て結構汚れたみたいだからお風呂にはいろうね」ってご主人様が………。
だから、この抱き上げ方は乙女には屈辱なんですって!
皆様に柔肌を見せて歩かないで!
「シャー!シャー!!」
後ろにいるご主人様に威嚇してもやめてくれない。
私の脇の下に手をいれて掴んだままお風呂に向かってご主人様は歩いて行く。
せめて、お風呂はご主人様じゃなくて侍女さんに入れてほしいです。
チェンジ希望!
…………。
結局、希望は1つも叶えられませんでした。
グレテヤル!
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