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82. 問題は…
しおりを挟む「嬉しいな、藤堂さんからデートに誘ってくれるなんて…」
嬉しそうに言う島岡さんには申し訳ありませんが、私は全くデートとは考えていませんでした。
場所は最近定番になりつつある琉斗さんのカフェですしね。
到着してすぐに島岡さんに話を切り出しました。
「島岡さん…少し気になる事がありまして…」
「え…何かな?」
笑顔だった島岡さんの顔が真剣な表情に変わりました。
「私は島岡さんと付き合える事になって嬉しいです。…がこの事を会社の皆さんに言う気持ちは無いのです」
「え…」
だってこの事が両親に知られると大変な事になりそうなので私としては暫くは内緒にしたままお付き合いをしたいと思っていたのです。
それに、島岡さんにも私の両親の話をしなくてはいけませんし…。
私は幼い頃から自分の両親の話しは人にしないように心がけていました。
財閥の社長をしていると分かると周りの反応が変わってしまうことを何度も見ていたからです。
なのでいつか自分に恋人ができた時は結婚が決まるまでは両親の事は秘密にしようと決めていたのです。
だから…島岡さんには申し訳ありませんが結婚が決まるまでは両親に知られる訳にはいかないのですわ。
「どうしてなのか理由を聞いても良いかな?」
少し悲しそうな顔を島岡さんを見ると心が痛みますが…。
両親の事が理由とは言えませんからね、何て説明すれば納得してもらえるのかしら。
「それは…恥ずかしいのと、仕事がやりにくくなると思うからです」
「はぁ~、良かった…」
島岡さんが安堵したように笑顔になります。
どうしたのかしら?
「僕は君が付き合っていることを後悔しているのかと…違っていて良かったよ」
そんな風に勘違いをしていたんですか?!
こっちが驚きですわ。
「付き合えた事に嬉しさはあっても後悔なんかしていません。そんな事を思わせていたなんて…すいません」
「いや、僕の自信の無さからだから…」
自信がない?
島岡さんが?
「島岡さんはとても素敵な人です。自信がないなんて信じられません」
あら?島岡さんの顔が赤くなりましたわ。
「ありがとう。いや、ほら…会社の藤堂さんではなくてプライベートの藤堂さんを知っているだろ…あの藤堂さんははオーラが凄いというか、キラキラ度が凄いというか…」
あ…特殊メイクをしていない私は芸能人によく間違われる事がありますが…オーラ…。
そんなに威圧感みたいなのがあったのでしょうか。
「おいお前ら…人の店でイチャツキ過ぎだよ」
あらわれたのはカフェオーナーの琉斗さんです。
「琉斗…居たのか?イチャイチャなんかしてないけど?」
琉斗さんは大きな溜め息をついてやれやれと言った感じです。
「どう聞いたってお互いの誉めあいをしてラブラブだな~とかしか思えないぞ」
「「え?!」」
驚いて声をあげると島岡さんとタイミングが重なってしまいました。
は、恥ずかしい…。
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