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44. 普通って…?

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「あれ?ルカどうしたの…」

有宗さんとの食事を終えて家に帰ると従姉妹のルカがやってきていた。静さんが対応してくれていたみたい。

「菫聞いてよ~。両親がフランスに帰って来いって連絡してきたのよ~」

「え…今更どうして?」

ルカは来日して何年もたっている。来る時も反対されていなかったはずだけど…。

「それがね…お見合いをセッティングしているから帰って来いだって…」

「あ~……」

ルカの両親はルカの恋愛対象が男性だとは知らないんです。ルカは息が詰まりそうだからと日本にやって来て…今のじょうたいなわけですの。多分、今のルカの姿を見たらご両親は驚くと思いますわ。

私の両親もルカに頼まれてルカの両親には言っていない。

「この際だからご両親に話してみたら?」

ルカが私を睨んだ。

「菫ちゃん!他人事だと思ってない?!」

…思っていないつもりだけど。

ルカの両親ってルカの事をすごく大事にしているし、案外カミングアウトしてもすんなりと受け入れてくれそうな気がするのだけど…。

「でも…長い間帰国していないみたいだし、ご両親は顔が見たいのかもしれないわ」

「確かに長いこと帰っていないけど~」

ルカは悩んでいるのね…。

「私は今のルカ大好きよ。生き生きしていて輝いているわ。自分を騙して隠して生きていた時は辛そうだったもの」

「分かってるわ…。だけどそう言う菫だって自分を偽って生きているじゃない…」

地味活動のことかしら?

「私は楽しんで偽装しているのよ」

ルカが納得がいかないという顔をしている。

「どうして偽装する必要があるのよ?」

「知っているでしょう?いつもの私でいるとトラブルに巻き込まれる事が多いって…」

「でもそれって、今も変わってないんじゃない?」

痛い所をつきますね。でも前に比べたらかなり減りましたよ。これでも…。

「菫だって綺麗な顔を隠してまで普通に生きようとしているでしょう?私も同じよ…周りの人達と同じ様に普通に生きて恋をして自分らしくいきたいだけなの…。それが両親に理解してもらえるかが心配なのよ。もし…理解してくれなくて両親に会えなくなってしまったら…そう思うと怖いのよ…」

ルカの気持ち理解できます。

人と違うことは目立ちますからね。普通って本当になんなんでしょうね…。誰にとっての普通なのか。私もルカも普通でいると目立ってしまう。だから、平均的な人間になろうとする。…私もルカも普通という言葉に振り回されているのかもしれません。

はあ~、今日は考えることが多すぎて倒れそうですわ…。
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