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38. 病気かしら?
しおりを挟む私が島岡さんについて考えていたらいつの間にか橘さんの顔が私の顔のすぐ近くまできていました。
「え…なんですか」
ビックリしました。
「いや、藤堂さんってなんで前髪をそんなに伸ばしているの?」
今更そこが気になるんですか?
顔を隠すためですがそのままは言えませんね。
「…意味はありません」
「なら、前髪は切った方が良いと思うよ」
凄い笑顔ですね。森本先輩なら悲鳴をあげて喜びそうですけど。
「藤堂さんって綺麗な顔をしているのにわざと隠すかの様に前髪伸ばしてメガネまでかけているから勿体ないな~って前から思ってたんだよね」
す、鋭い!その通りなんですが…見られていたなんて気がつきませんでした。橘さんって細かい所までよく見ているんですね。
「はあ…」
こっちは綺麗にしたくないんです。地味活を楽しんでいるんですよ!でもこれは言ったところで周りには理解してもらえないんですよね…。
「こら、橘くん藤堂さんが困っているじゃないか」
島岡さんが助けてくれようとしています。ありがとうございます。
「でも、悪いことを言っているわけではないですよ」
橘さん…引きませんね。
「そうだけど…仕事には支障ないんだし関係ない事をあまり言っているとハラスメントだって言われちゃうよ」
「まあ…そうかもしれないですね。ごめん藤堂さん」
島岡さん上手い!さすが営業成績がトップの人は違いますね。言葉の使い方が上手い。叱る訳ではなく嫌な思いはさせない様に引かす…勉強になりましたわ。
「お待たせしましたハンバーグランチです」
「うわー、美味しそう!」
橘さんが鉄板にのったハンバーグを見て目を輝かせています。ソースは自分でかけるタイプのものみたいです。
さっそく別添えのデミグラスソースをハンバーグにかけるとジュー!と美味しそうな音がなりました。
3人ともが唾を飲み込んだのがわかります。美味しそうな匂いまでがたちこめています。
「「いただきます!」」
島岡さんと橘さんが先に食べ始めました。
「旨い!…熱い!肉汁が…出てきて…ハフ…旨い」
橘さんが食べながらコメントをしていますが、かなり熱いみたいですわね。
その横で島岡さんは無言で噛みしめながら食べています。
静と動と言った感じですわ。
「いただきます」
私も一口食べましたが…静さんのハンバーグも美味しいですが弟さんのハンバーグも美味しいです。
静さんの作るハンバーグは少し柔らかめなのですが弟さんのハンバーグは肉肉しいハンバーグです。お肉の旨味が口の中に広がります。
「美味しい…」
そう呟いた時に島岡さんと目が合ってしまいました。
「気に入ってもらえて良かったよ」
そう言って笑った島岡さんの顔になぜか私の胸がドキッとしてしまいました。
…心臓が変だわ。
何か悪い病気なのかしら…。
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