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32. 新しい扉を開きました?
しおりを挟む「この際ですからハッキリ申し上げますわ。私はお2人の事を友人として見てはいますがそれ以上になる事は絶対にありません。ですから、どちらが私の婚約者になるかなんてことを言われても的外れなんです!お分かりになったらお帰り下さい」
私はニッコリと笑って車の方を指さした。
「「……」」
お2人とも私があまりにもハッキリと言いきったので固まっていますわ。もしかしたら、イケメンだから断られた事がないのかもしれませんね。
少しきつかったかしら。
「そんなにハッキリと言われたのは初めてだよ…」
「私もです…」
有宗さんもラウル様も予想通りでしたのね。
「「素晴らしい!」」
はぁ?!
今、お2人の声が重なりましたわね。
「今まで僕に対してこんなにも物怖じせずに発言してくれる女性はいなかった。菫ちゃんは何て素晴らしいんだ!」
「私も同じ…菫ちゃん…やはり素敵だ」
え?!
有宗さんもラウル様もM気がおありなんですか?
きつく言われて嬉しい…みたいな?
いや、ないない…ないですよ!
そんな恍惚の表情されると気持ちが悪いです!
止めてください!
どうしましょう…何だか思わぬ方向に進んでしまった感じがしますわ。優しく言っても、きつく言っても効き目が無いなんて…これが八方塞がりと言うやつですわね。
私…本当に厄払いしてもらった方が良いのかもしれません。
厄年って何歳でしたかしら?
19歳の時は年上の人から長いものをもらうと良いと聞いてお母様から長いネックレスを買っていただいたのよね。
あの時のネックレスでも身につけてみようかしら、それでも厄除けになるのかしら…。
「お嬢様…何をされているのですか?」
「静さん…」
静さんがお買い物から良いタイミングで帰って来たみたいです。助かった…。
「この方達はお客様ですか?」
「いいえ、もう帰っていただくところよ」
私は静さんの背中を押してエントランスに向かった。
「それではお2人とも気をつけてお帰り下さい。失礼いたしますわ」
やっとこの地獄から逃げる事ができます!
まあ、問題を先延ばしにしている感じですが…。
「菫様…また来ます」
「私も出直しますね」
有宗さん…菫ちゃんから菫様になってませんでしたか?
気のせい?
新しい扉を開けた訳では無いてすよね…。
うん、怖いから考えるのを止めましょう。
振り返ると、2人は大人しく車に乗り込むところでした。良かったですわ~、ホッとしました。
やっと自宅に帰って来ました。
月曜日からとんでもない1日になってしまいましたね。そう言えば…以前にもらった塩のスクラブがあったはずですわ。それで体を清めましょう。
あ~、どうか明日こそ心穏やかに過ごせます様に!
あっ、外商の高橋さんに電話するのをすっかり忘れていましたわ~!
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