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22. 面倒くさい偽装仮婚約者
しおりを挟む「ねぇ…僕の婚約者に言い寄って来ているのは誰なのかな?教えてくれるよね?」
「え~と、それは…」
話し方は優しいのに声に迫力がありますね。
そもそも、私は貴方の婚約者ではなく、偽装仮婚約者のはずなんですが…。
契約書をきちんと作成しておくべきでしたね。
「あの…時間が…急いでおりますので」
暗証番号を入力して部屋に行こうとしたら有宗さんがついて来た。
「え…と、一緒に部屋まで来られるつもりですか?」
「うん、そのつもりだけど?」
強引ですね。
「ただいま帰りました」
わたしが玄関に入ると静さんが慌ててやって来た。
「お嬢様心配いたしました。昨日はどうされたのですか?」
「あ…うん、後で説明するわ。お客様が入らしているの…」
私がチラッと後ろを見ると、有宗さんが姿を見せた。
「初めまして、婚約者の有宗です」
「まあ!失礼いたしました。どうぞ、お上がりください」
静さんは驚きながらも顔を赤くさせて部屋の中へと案内した。
「静さん、私は出かける準備をしますので、有宗さんのおもてなしをお願いしますね」
「はい。畏まりました」
心なしか静さんが嬉しそうに見えますね。
イケメン効果恐るべしですわ。
いけない、私は早く準備しないと…。
カジュアルな服装は駄目だったはず…。
色は有宗さんの瞳の色が良いと言ってましたわね。
淡いブルーのシフォンワンピースで良いかしら。
髪はハーフアップにして、アクセサリーと髪飾りを同じ色で揃えればスッキリとした印象になるわよね。
…となると、アクセサリーはダイヤモンドにしようかしら。
ダイヤのネックレスとイヤリングそしてダイヤに似ている無色透明のびじゅーがついたヘアーアクセサリー…うん、これが良いわ。
今日はルカが来ることが出来ないから自分で全てをしないといけないから大変。
時間がかかるわね。
何とか準備を整えてリビングに行くと楽しそうに歓談している静さんと有宗さんの姿がありました。
まあ、静さん顔色が良くなりましたわね。
私が現れた瞬間静かになってしまいました。
「…綺麗だ」
有宗さんが椅子から静かに立ち上がり私の方にやって来ました。
「みんなに見せるのが惜しくなってきちゃった…」
有宗さんは正面、横、後ろと私の周りをくるっと一周しました。
「うん、完璧!」
私の両肩に手を置いたかと思うと、私の額にキスをしてきました。
「あ、有宗さん!」
この人…キス魔ですね。
私はすぐに額を自分の手で隠しました。
「隙あり!」
今度は頬にキス。
私は思い切り有宗さんを突き飛ばしました。
有宗さんはソファーまで飛びましたが…仕方ありませんよね。
私は身を守る為に護身術も習っていましたので…。
これからは気をつけて下さいね。
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