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13. 要注意危険人物

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「やあ、菫ちゃん。本当に別人なんだね」

応接室いたのは有宗さんだった。

「驚いたよ…。藤堂さん有宗さんと知り合いだったんだね」

島岡さんがにこやかに話をふってくる。

いや、有宗さん…私を巻き込まないでくださいよ!

貴方と知り合いだと女子社員にわかったらどんな事になるか…考えたくないです。

私は目立たず、地味に働きたいんです!

「藤堂さん…?」

しまった!会社では社長の娘と分からないように母方の姓を名乗っているのを有宗さんは知らないんでしたわ!

「有宗さん!少しお時間をいただいても宜しいですか?島岡さんも有宗さんをお借りしても宜しいですか?」

島岡さんは私の声の大きさに驚いた様子だ。

「あ…あ、いいけど」

「島岡さん、ありがとうございます」

すぐに有宗さんの腕を掴んで部屋を出て、空いている会議室に入り込んだ。

「何しているんですか有宗さん!」

「え、だって菫ちゃんを探したけど見つからなかったから商談ついでに島岡さんに「この会社で働いている菫ちゃんに会いたいんだけど」ってお願いしただけだよ」

全く悪びれること無くニコニコとした顔で有宗さんは言っている。

この人…本当に危険だわ。

だけど、島岡さんもよく菫ちゃんだけで私を思い付いたわね。

このイケメンと今の地味な私を結びつけられたことに驚きますわ。

「有宗さん、私はこの会社で母方の姓を名乗って目立たないように仕事をさせてもらっています。会社で会うのは遠慮してください。月に2回はお会いするのがルールでしたよね?」

「…怒ってるの?ごめん…。ただ顔が見たいな~って思っただけなんだ。許して…」

怯えた子犬みたいな顔をして見てもダメです。

もう、この人は本当にわざとしているんじゃないところが怖い。

天然なのかしら?

天然ストーカー製造機…考えるのも怖い…。

辺りを見回し、ストーカーがいないか確認した。

誰も居ないわね。

「…で、島岡さんにはどういう知り合いだと言ったんですか?」

まさか、婚約者だと言ってませんよね…。

「え…婚約者だと言おうかと思ったけど…母どうしが仲良くしている関係だと話したよ」

「良かった~」

「え…婚約者だって言ってほしくないの?」

なぜ、そこで驚いた顔をしているんですか。

「勿論です。これからもそれでお願いします。では、仕事に戻りますので失礼します」

「プッハ…ハハハ!菫ちゃんってやっぱり変わってるよね。女性は僕と結婚したいと言い寄ってくることが多いのに…」

今更ですね。

「前も言いましたが結婚に興味はありません。私は地味活動に忙しいのです」

有宗さんの目付きが変わった様な気がするのは…気のせいですよね。

「…方針を変えようかな。菫ちゃんに興味がでてきちゃったよ」

そう言うと有宗さんは私の髪の毛を手に掴みキスをしました。

何してますの~!

私が唖然としていると、今度は額にキス…。

私は急いで額を隠して後退りで離れました。

「な、な、何するんですか!」

「婚約者だから良いよね?」

「偽装仮婚約者です!」

訂正!やっぱりこの人は天然ではなく、あざとい人だ!

要注意危険人物!

「は、早く応接室に戻って下さい!島岡さんが待ってます」

「え~、もう商談は終わったし…」

何を拗ねた感じを出しているんですか?

「では、私が応接室に行きます」

ここは危険ですわ!

「じゃあ、僕も…」

一緒にいるところを他の人に見られたく無いのですが…。

うわ!一番会いたくなかった人が前からやって来てしまいました。

何て言われるのか…心配です。

どうかこれ以上問題がおきませんように…。




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