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11. 偽装仮婚約者になりました

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あれから何事もなくランチは終わった。

よくあるパターンでお母様達に「後は若い2人でお話をしなさい」と言われて有宗さんと2人きりでお茶をすることになってしまった。

因みにお母様達はこれからデパートにお買い物に行くらしい。

「はあ~」

思わず溜め息が出てしまった。

「大丈夫ですか?」

少し笑いながら言っている時点で本当に心配はしていませんよね。

「申し訳ありません。貴重なお時間をいただいているのに気を抜いていました」

「いえ、私も母に無理やりここに連れて来られたので気持ちは理解できますよ」

やっぱり私と一緒で無理やり連れて来られたんですね。

「有宗さんはどうしてお見合いを?お見合いする必要が無いように見えるのですけど…」

疑問をそのままぶつけてみた。

「あ~、それは…。まあ、いいか…君とは気が合いそうな気がするし。私は独身だということで質の悪いストーカーのような女性に狙われる事が多くてね…少し女性不信なんだよ。それで母が心配して今回のお見合いをセッティングしたんだ」

なるほど…私と同じような感じですね。

「そうなんですね。気持ちは察します」

「やっぱり、君なら分かってもらえると思ったよ」

何だか不思議な気持ちになる。

…同士みたいな?

「どうだろう…お互い異性に不信感があり今すぐ結婚はしたくないよね?母達には気に入ったと伝えて友人にならないか?お互いにリハビリだと思って…」

「ですが、母に気に入ったと伝えると直ぐに婚約だ!となりそうなんですけど…」

なりそうではなく、絶対になるだろうな。

「そこは今すぐに婚約というなら断る!と言ってみてはどうかな?そして、次の見合いは絶対にしないと言えば親も考えるんじゃない?」

う~ん、確かにそうかもしれません…。

「あまりに会っていないと疑われるから月に2回くらいは会って食事でもしよう。そうすればごまかせないかな?」

この人…策士ですね。

今の提案はアレですよね、偽装仮婚約みたいなものですよね。

お互いにこれ以上無駄なお見合いをしなくて済みますし、異性に迫られた時に相手がいると言うことができるから断るのが楽になるということですね。

うん、良いかもしれませんね。

「…分かりました。偽装仮婚約ですね」

「ふはっ…、一言で言えばそんな感じなのかな…でも偽装婚約に仮がつくんだね」

笑っていますけど、そういう事で間違いありませんよね。

「君は面白いね…。うん、仲良くなれそうだよ。これから宜しくね偽装仮婚約者様」

有宗さんは握手をしようと手を出してきた。

私も手を出すと…。

チュッ…。

握った手を回転させて、私の手の甲にキスをした。

「はあ?何をするんですか」

「僕の家では普通だけど?」

不思議そうな顔をして…あざといのでしょうか?

でも、忘れていましたわ。

外国に住んでいる時はよく見かけましたね。

「ここは日本ですから…辞めた方が良いですよ。こういう事を女性にすると勘違いされますから」

「わかったよ。でも、君は僕の偽装仮婚約者だから良いよね?」

「友人なので無しの方向でお願いします」

「……」

笑顔で無言ですか…。

外国人はスキンシップが激しいという認識からいえば、有宗さんはハーフなのでお父様とのスキンシップが普通になっているのかしら?

これを日本女性にしたら勘違いされてもしかたないと思いますよ。

有宗さんって…もしかしてストーカー製造機みたいな人なのではないでしょうか。

少し不安になってきました。

「私…女性から刺されたりしませんよね?」

「ハハハッ!菫ちゃんは本当に面白いね…」

大笑い&菫ちゃん呼び!

私は至って真面目なんですけど。

本当に大丈夫ですか~!







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