3 / 100
3. 島岡さんとチョコレート
しおりを挟む「はあ~、やっと終わりましたわ…」
森本さんに押し付けられたお仕事を全て終了すると時間は20時になってしまっていました。
「大変…早く帰宅しないと」
私はパソコンの電源を切って帰宅の準備を始めた時に誰かが部屋に入って来たのが分かりました。
「あれ?珍しいですね、こんな時間まで藤堂さんが残っているなんて…。あっ、また誰かに仕事を押し付けられのですか?」
そこに現れたのは営業部のリーダーの島岡賢人(しまおか けんと)さんだった。
さっき、またって言いましたね。
この人ボーとしているようで良く人の事を見ているんですよね。
「森本さんが今日は予定があるからと変わりに作成をお願いされまして…」
島岡さんは私の近くまでやって来てカバンの中をゴソゴソとし始めた。
「これいつも頑張っている藤堂さんにご褒美です。…と言っても営業先の人からもらったんですが…僕は甘いのが苦手だから良かったら食べて下さい」
そう言って私の手に小さな箱を乗せた。
何だろう?
今開けた方が良いですよね?
「ありがとうございます。ここで開けても良いですか?」
「はい、どうぞ。僕も中身が何か分かる方が相手に話せますので助かりますね」
小さな箱を開けると、小さなハートの形をしたチョコレートが入っていた。
しかも…。
「これは私がもらっては駄目な物ですね…。お返しします」
小さなハートの形をしたチョコレートの隣に長方形のピンク色のチョコレートもあり、その上にホワイトチョコレートでメッセージが書かれていた。
"大好きです"
これを島岡さんに渡したのは営業先の女性ですね。
箱の蓋を閉じて島岡さんに返そうとしたが、島岡さんは…。
「これ…このまま返したら失礼だよね?」
え?このまま食べずに相手に返すのですか?
それは駄目だと思います。
泣いてしまいますよ。
「これは島岡さんが食べてからお相手の女性に返事をするべきだと思います」
島岡さんは頭を指でぐしゃぐしゃとして困った顔をしていた。
「僕はそんな態度をとったつもりはないんだけどな…。お得意様なのに…」
確かに、仕事先で悪い噂をたてられても困りますよね。
島岡さんは優しいから知らないうちに好意を持たれたのかもしれません。
「では、彼女がいると断れば良いのではありませんか?タイプではないと断られるよりは良いと思います…」
島岡さんは目を開いて頷いていた。
その手があった~と顔に書いてありますよ。
島岡さんは185センチでスラッとした細マッチョ。
お顔立ちもモデルのように整った人なので彼女がいないとは思わないでしょう。
そういう話をしたことがないので私は知りませんけど…。
社内でも女性社員から良いパパになりそう!と言われて結婚したい男性社員No.1になってましたよ。
あ、これは女性社員だけに回される秘密の掲示板に載っていました。
「そっか…そうですね。ありがとう藤堂さん」
島岡さんは私の手を握りブンブンと上下に振った。
いや…恥ずかしいので手を離して下さい。
それよりも、私は早く帰りたいのですが…。
「ゴホッ…こんな時間に何をしているのかな?」
そこに現れたのは…。
0
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の復讐マリアージュ【完結】
よつば猫
恋愛
🍀講談社女性コミック9誌合同マンガ原作賞、最終候補
🍀comico女性向けマンガ原作大賞、最終候補
復讐のために恋心を隠して、社内のイケメン天才エンジニアに契約結婚を持ち掛けた社長令嬢の杏音。
「私は忙しいの。
あなたに構ってる時間なんかなくってよ」
「そっか。
じゃあ、子作りはどうする?」
※ 表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしてます!
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
和泉杏咲
恋愛
私は、もうすぐ結婚をする。
職場で知り合った上司とのスピード婚。
ワケアリなので結婚式はナシ。
けれど、指輪だけは買おうと2人で決めた。
物が手に入りさえすれば、どこでもよかったのに。
どうして私達は、あの店に入ってしまったのだろう。
その店の名前は「Bella stella(ベラ ステラ)」
春の空色の壁の小さなお店にいたのは、私がずっと忘れられない人だった。
「君が、そんな結婚をするなんて、俺がこのまま許せると思う?」
お願い。
今、そんなことを言わないで。
決心が鈍ってしまうから。
私の人生は、あの人に捧げると決めてしまったのだから。
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
東雲美空(28) 会社員 × 如月理玖(28) 有名ジュエリー作家
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜
四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」
度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。
事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。
しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。
楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。
その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。
ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。
その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。
敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。
それから、3年が経ったある日。
日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。
「私は若佐先生の事を何も知らない」
このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。
❄︎
※他サイトにも掲載しています。
スパダリ外交官からの攫われ婚
花室 芽苳
恋愛
「お前は俺が攫って行く――」
気の乗らない見合いを薦められ、一人で旅館の庭に佇む琴。
そんな彼女に声をかけたのは、空港で会った嫌味な男の加瀬 志翔。
継母に決められた将来に意見をする事も出来ず、このままでは望まぬ結婚をする事になる。そう呟いた琴に、志翔は彼女の身体を引き寄せて
――――
「私、そんな所についてはいけません!」
「諦めろ、向こうではもう俺たちの結婚式の準備が始められている」
そんな事あるわけない! 琴は志翔の言葉を信じられず疑ったままだったが、ついたパリの街で彼女はあっという間に美しい花嫁にされてしまう。
嫌味なだけの男だと思っていた志翔に気付けば溺愛され、逃げる事も出来なくなっていく。
強引に引き寄せられ、志翔の甘い駆け引きに琴は翻弄されていく。スパダリな外交官と純真無垢な仲居のロマンティック・ラブ!
表紙イラスト おこめ様
Twitter @hakumainter773
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる