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73. リオンに会えた
しおりを挟む眩しくて目を開けるとそこには、クリフ様の顔が見えた。
まだ、夢を見ているのだろうか…。
「レオナ!聞こえてる?」
クリフ様が私に声をかけながら頬を触っている。
クリフ様の手の温かさを感じる。
夢じゃないのね…。
私は声を出そうとしたが、上手く発音する事ができなかった。
でも、クリフ様はわかってくれたらしく私の手を握りしめて涙を流した。
「良かった…本当に良かった。もう、会えないのではないかと心配したんだ…」
そんなに私の事を心配してくださったのかと思うと胸が熱くなった。
「そういえば、今物凄い光に包まれて身体が宙に浮いていたが…大丈夫なのか?」
そうなのか…。
もしかして、レオンが言っていた聖なる魔法なのかな。
自分に治癒魔法をかけて傷を治したのかもしれない。
私は自分の身体を触って確かめてみた。
お腹の傷が無くなっている。
…すごい。
「クリフ…様…。魔法…です」
途切れた声で言ってみたが、分かってくれただろうか?
「魔法…レオナは魔法を使えなかったよね?」
私は頷いた。
「使え…るように…なりました」
クリフ様は難しい顔をしている。
確かに…急に魔法を使えるようになったと言われても、何を言っているのだと思うだろう。
まさか、夢であったレオンが魔法を使える様にしてくれた…なんて言えないし、どう説明すれば分かってもらえるだろう。
「クリフ様、レオナ様のお姉様と言われる方がお会いしたいと来られていますが、どうされますか?」
部屋の扉の向こうから執事さんの声が聞こえた。
お姉様が来てくれたのね。
「レリアさんだろう、入っていただけ」
扉が開いて、そこにいたのはレリアお姉様と小さな子供…。
頭からマントを被っていて顔は見えないけど、たぶん…いいえ、絶対にリオンだ。
「クリフ様ありがとうございます」
お姉様はリオンを抱いたまま、クリフ様に頭を下げた。
「いや、ちょうど今レオナの目が覚めた所なんだ。タイミングが良かった。今日はリオンも一緒なのだな」
クリフ様はそう言いながらリオンの頭をマントの上から撫でた。
「おかあさま、これ…とってもいい?」
リオンは顔を出したいみたいだ。
「ええ、ここなら良いわよ」
お姉様に言われてすぐにマントから顔をだした。
「あ…」
思わず声が出た。
聞いていたけど、本当にクリフ様にそっくりだわ。
だから、お姉様はリオンにマントをかけて来たのね。
王宮付近でリオンの顔を見られれば良からぬ事を言われる可能性があるものね…。
そんな危険をおかしてまで…私に会わせようとしてくれたのね。
私の目から涙が溢れた。
生きていて良かった…。
「リオ…ン…」
私はリオンに手を伸ばした。
リオンに触れたい。
もっと声を聞きたい。
だが、その手にリオンは触れる事がなかった。
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