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41. 意外な人物
しおりを挟むあれから、急いで海に向かった。
遠くから見ても確認できるくらい大きな船が港に止まっている。
見るからに我が国の船とは作りが違う…。
やはり、噂は本当だったのだろうか…。
「人は誰か降りて来たのか?」
クリフ様が見張っていた護衛に聞いた。
「いえ、まだ確認されていません」
噂通りだとあの方が降りてくるはずなんだけど…。
船から少し離れた所から監視をすることになった。
不謹慎だが…船が来てくれたおかげで、クリフ様と1つのベッドで寝なくてすむと思うとホッとした気持ちになっていた。
…気が緩んでいたのかもしれない…。
「誰か出てきました…」
船から出てきたのは金髪にブルーグレーの瞳のクリフ様も私もよく知る人物だった…。
「やはりあの方だったか…」
クリフ様が溜め息をつかれるように言った。
「でも、異国の船に乗っていると言うことは…どこか別の国でお世話になっているという事ですよね?」
「ああ、何故コソコソと帰ってくるのか…直接、本人に聞いてみるか…」
「え…クリフ様…」
お止めしようと思ったが間に合わずクリフ様が飛び出して行った。
出てきた人物の前に行った。
「お久しぶりです。叔父上様…」
そう、実はこの人物は王様の年の離れた弟…クリフ様からすれば叔父上にあたる人だったのだ。
「本当に久しぶりだね、クリフ。元気そうな姿を見れて良かったよ。だけど…昔から言っているだろう叔父上はやめてくれよ。昔と同じ様にアルスと呼んでくれよ」
相変わらず軽い感じは変わらないな。
「…では、アルス様今はどちらの国でお過ごしなのでしょうか?」
「え、言わなくては駄目か…う~ん。秘密」
掴み所がないのも変わらないな…。
アルス様は数年前から行方不明扱いになった方だ。
王族では珍しい自由気ままな人物。
いろんな国に行ってはいつ帰ってくるかわからない…そして、とうとう国に帰って来なくなった。
「久しぶりだと言うのにもっと他に言うことはないのかい?…そうだ、お前がいるということは…レオンも来ているのか?おーい!レオン出てこいよ~」
はあ~。なぜか、アルス様は私の事を昔から構いたがる所があって…私は苦手なのだ。
でも、出ないわけにはいかないよな…。
「良くお分かりですね…アルス様。ご無沙汰しております…」
しぶしぶ前に出ていくと、アルス様が私に抱きついて来た。
「レオン!元気にしていたか?会いたかったぞ!」
「叔父上!レオンから離れて下さい!」
クリフ様が私からアルス様を離そうとするが、離れない。
「久しぶりのレオンとの対面を邪魔するなよ。あ~、レオンの良い香りがする…」
変態か…。
私はアルス様を突き放そうともがいてみたが…上手くいかず、アルス様の脚を狙おうとしたらアルス様が急に抱きしめていた腕を開いた…その瞬間…私はバランスを崩しヨタヨタと後ろに倒れる様に歩いて行き…そして…海に落ちた。
「レオン!」
気が緩んでいた事を後悔した。
だって私は泳げないのだから…。
神様…こんな人生の終わり方って…。
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