31 / 88
31. 思い出したい
しおりを挟むどうしよう…。
クリフ様…期待した目をしていた。
今さら、あの女性は来ることが出来ません…と言いづらい状況になってしまった。
「レオ様…顔色が優れませんが大丈夫ですか?」
侍女のマリーが心配してくれている。
「大丈夫よ…ありがとう」
「レオ様、1度診察に行かれませんか?帰って来られてからまだ、調子が万全では無いように見えます」
そうかしら…。
でも、マリーが言うならそうかもしれないわね…。
「そうね、マリーが言うならそうかも知れないわね。どこか良いところを知っている?」
「はい。知り合いに女医がいますので、そこなら…レオ様の秘密も守ってくれます」
「そう…では次の休みに行く事にするわ。予約しておいてくれる?」
「かしこまりました」
そう言うと、マリーは部屋から出ていった。
早速、予約しに行ったのかな?
さすが、マリーね。
診察してもらって、記憶も戻らないかしら…。
ここ1年の記憶が曖昧って…意外と不便なのよね。
仕事はお休みを頂いていたから支障はないんだけど、プライベートがね…。
クリフ様の事で何かあったんだとは思う…。
何となくだけど。
両親が私を女性と結婚させようとしているのもマリーから詳しく聞いた。
だけど、まだ…何か…とても大切な何か…忘れてはいけない何かがあるような気がする。
何なんだろうか…。
胸にポッカリと穴が空いている様な感じがするのだ。
「…痛い」
それを思い出そうとすると決まって頭が痛くなる。
何か思い出すといけない事でもあるのだろうか?
1年前と変わった事…。
何だろう。
クリフ様の事を意識している自分に気がついたくらいかな…。
帰国してからクリフ様に会うたびに、ドキドキとしている自分がいて驚いた。
最初は心臓でも悪くなったのかと心配になったけど、だんだんと違う事に気がついた。
クリフ様が近くに来るとドキドキするけど、その他の人だと全然大丈夫だったから…。
なぜ…いつから…そうなったのか。
確かに、素敵だとは思っていたけど…自分は男として生きるのだから、恋愛とかは全て諦めて仕事に集中しないといけない…と思っていたはずなんだけど…。
これも、無くした記憶の中にヒントがあるんだろうな…。
やっぱり、診察にいったら全てを話して記憶を取り戻す方法を聞いてみよう。
うん…それしかないよね。
少しでも記憶が戻る可能性があるなら何でもやってみないと。
この胸に空いた穴の正体が何なのか…思い出したい。
クリフ様の事もマリーに相談してみようかな。
マリーなら何か良いアドバイスをくれるかもしれないし。
早くマリー帰ってこないかな…。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
安らかにお眠りください
くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。
※突然残酷な描写が入ります。
※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。
※小説家になろう様へも投稿しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる