男装令嬢の願い

縁 遊

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22. まさかの展開

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誰かが私を呼んでいる…?

「……レ…ナ…レオナ」

お姉様…?

ゆっくりと目を開ける。

目の前には泣き腫らした目をしたお姉様がいた。

「良かった…気がついたのね…本当に良かったわ」

「…お姉様…何故ここに?…里帰りですか…」

お姉様は隣国に嫁いでいかれたはずだけど…。

「…貴女…覚えてないの?」

「何をですか…」

「7カ月くらい前から私の所に来ていたのよ…覚えてない?」

「私が…何故…お姉様のところに…?」

だんだんと頭が痛み始めた。

「…思い出せません。なぜ…私はここに…」

気のせいかお腹もズキズキと痛い…。

なぜなの…。

私に何があったの…?

私は頭を押さえて目を閉じた。

「……無理して思い出すことはないわ。今はゆっくり休みなさい。そうすれば思い出すかもしれないし…」

「わかりました」

でも、何か…とても大事な事を忘れているような気がする…何だろう。

大事な事…。

また、頭が痛みだした…。

やはり一度寝た方が良いかも…。

私はすぐに眠ってしまった。




「クリフ様…その子は誰ですか?」

目の前でクリフ様が小さい子供と遊んでいる。

男の子…?

2人が笑いながら鬼ごっこしている様だ。

男の子はクリフ様の事を…お父様と呼んでいる?

…クリフ様の子供?

いつの間に結婚されたのだろう。

知らなかった…。

相手は誰なの…。

私が忘れてしまっていた大事なことって…これなの?

でも、あの子がクリフ様の子供なのは間違いないと思う。

だって、すごくクリフ様に似ているわ…。

銀髪にブルーの瞳…クリフ様を小さくしたみたい。

可愛い…。

「キャハハハ…疲れました。お父様お休みしたいです」

「そうだな。お父様も疲れたから、ちょうど休みたいと思っていたんだ。気が合うなリオン」

リオン…可愛い名前ね。

「……様リオン頑張りました」

私の方にリオン様が駆け寄って来た。

私の足元に抱きついて、下から私を見上げている。

何て可愛いの…。

私はリオン様の目線までしゃがみこみ抱きしめた。

「リオン様、がんばりましたね」

私が抱きしめるとリオン様も私をギュッと抱きしめた。

何て幸せな気持ちなんだろう。

この子が私の子供なら…。

…叶わない夢ね。

叶わない夢を見てはいけない…。

それは、今までの人生で良く知っている。

私には叶わない夢が多かった。

悲しい思いをしたのも数えきれない…。

だから、私は叶わない夢は見ない事にしている。


でも、勝手に母親気分になることは許して欲しい…。

これは、きっと夢…。

わかりやすい夢…。


レオナ…早く目を覚ますのよ。

そうしないと、苦しくなる…。

…こんな夢は見てはいけない。

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