上 下
19 / 20

19. 神様との話し合い

しおりを挟む


実は神様に2人の子供に生まれ変わりたいとお願いした時、あれで終わりではなかったのだ。

あの後神様といろんなお話をした。

「でも具体的にどう復讐するかとか決めているの?」

「いえ、取り敢えずあの2人の近くにいればいくらでもチャンスはあると思うので考えながら復讐できるチャンスを待ちたいと思います」

私は2人のイチャイチャな姿を見せられて頭に血が登っている状態だったので興奮していた。

悪く言えば、何も考えないで勢いで発言していたという感じだろうか。

「君の今の状態ではきっと上手くいかないよ。取り敢えずは今できる事をしておこうよ」

今できることですか?

「そうだな…。まずは証拠品を集めておかないといけないよ」

証拠品ですか…。

「ピンとこないみたいだね。君はどうやって殺されたの?」

口移しに毒薬を飲まされて…。

「あっ!そうか…そうですね。毒薬の入っていた瓶とデリムが飲んだ毒消しの薬の瓶を持っていればいずれ役にたつかもしれませんね」

神様はうんうんと頷いていらっしゃいます。

「でも幽霊になった私ではあの瓶をどうすることもできません」

「君は誰と話しているのかな?僕に出来ないことはないよ」

神様はそう言うとブツブツと誰かに話しかけるように呟いています。

「あの~何をされているのですか?」

「ああ今、君の侍女のパルに瓶を回収して保管しておくように夢でお告げをしたんだよ」

そんなこともできるのですか?!

「あっ、それから瓶だけでは証拠品としては弱いから、とっておきのものを教えてあげよう」

「え?瓶だけだと駄目ですか?」

それだけで充分だと思っていました。

「そんなのは知らない!と言われたらそれで終わりだよ」

「確かにそうですね」

「いいかい、人間には皆指に指紋という模様があるんだ。これが不思議なことに一人一人が違う模様なんだよ。だから模様を調べれば誰が瓶を持っていたかがわかるんだ」

見せられた神様の指には指紋はありませんでしたけどね。

そんなのがあるなんて気がつきませんでした。

「それからもう1つ…。デリムは公爵家の今の使用人達を全員辞めさせるみたいだよ」

「え!そんな…酷い」

殆どの者が昔から働いてくれている人達なのに…。

「僕はねそこにも腹がたつから細工したよ。新しく雇う使用人は辞めさせられた元の使用人と関係あり、尚且つキャロルの事を知っている人達にしたんだ。別の言い方をすればデリムを良く思っていない人達だね。皆には僕が夢でお告げをしておくよ。キャロルが2人の娘として生まれ変わるから力を貸してあげてね…って」

「神様~!」

私は号泣した。

神様にここまで良くしてもらえるなんて…勿体ないことだ。

「君は生きている時、僕たちに毎日祈りを捧げながら綺麗に掃除もしてくれていた。感謝していたんだよ。だからこれはその恩返し…」

「ありがとうございます…」

やっぱり真面目に生きていて良かったこともあったんですね。

「転生したらシア王子も手伝ってくれるから頼るんだよ。僕も見守っているかね」

神々しい笑顔が眩しすぎます。

「はい。転生しても必ず毎日礼拝して掃除もピカピカに磨き上げるまでしますので…。本当にありがとうございました」

そういって私はこの世に転生した。

憎い2人の娘として…。










しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

竜人王の伴侶

朧霧
恋愛
竜の血を継ぐ国王の物語 国王アルフレッドが伴侶に出会い主人公男性目線で話が進みます 作者独自の世界観ですのでご都合主義です 過去に作成したものを誤字などをチェックして投稿いたしますので不定期更新となります(誤字、脱字はできるだけ注意いたしますがご容赦ください) 40話前後で完結予定です 拙い文章ですが、お好みでしたらよろしければご覧ください 4/4にて完結しました ご覧いただきありがとうございました

そんな目で見ないで。

春密まつり
恋愛
職場の廊下で呼び止められ、無口な後輩の司に告白をされた真子。 勢いのまま承諾するが、口数の少ない彼との距離がなかなか縮まらない。 そのくせ、キスをする時は情熱的だった。 司の知らない一面を知ることによって惹かれ始め、身体を重ねるが、司の熱のこもった視線に真子は混乱し、怖くなった。 それから身体を重ねることを拒否し続けるが――。 ▼2019年2月発行のオリジナルTL小説のWEB再録です。 ▼全8話の短編連載 ▼Rシーンが含まれる話には「*」マークをつけています。

失礼な人のことはさすがに許せません

四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」 それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。 ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。

夜会の夜の赤い夢

豆狸
恋愛
……どうして? どうしてフリオ様はそこまで私を疎んでいるの? バスキス伯爵家の財産以外、私にはなにひとつ価値がないというの? 涙を堪えて立ち去ろうとした私の体は、だれかにぶつかって止まった。そこには、燃える炎のような赤い髪の──

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。 私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。 処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。 魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

君の小さな手ー初恋相手に暴言を吐かれた件ー

須木 水夏
恋愛
初めて恋をした相手に、ブス!と罵られてプチッと切れたお話。 短編集に上げていたものを手直しして個別の短編として上げ直しました。 ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

王子の逆鱗に触れ消された女の話~執着王子が見せた異常の片鱗~

犬の下僕
恋愛
美貌の王子様に一目惚れしたとある公爵令嬢が、王子の妃の座を夢見て破滅してしまうお話です。

処理中です...