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18. 復讐完了
しおりを挟むシア王子は小さな箱を取り出しました。
デリム達は不思議そうな顔をしています。
なぜ箱を持ってきたのか…証拠が箱?と思っているのかもしれませんね。
問題はその中身ですよ。
箱を開けると中に小さな瓶が2つ入っていました。
1つは中に液体が入っていて、もう1つは底にうっすらと液体が入っているようです。
「これに見覚えはないか?」
デリム達は証拠品を見ても思い出さないみたいですね。
ジッーと瓶を見つめていたデリムの顔色が変わり始めました。
やっと思い出してくれたのですね。
そう、それは貴方が私に…いえ、キャロルに最初で最後の口づけをする前に口にした毒消しの薬が入っていた瓶ですよ。
それともう1つの瓶はアデレイトが隠し持っていた毒薬の入っていた瓶ですわ。
「ほう、思い出したか?顔色がどんどんと悪くなっているぞ」
シア王子が追い詰めようとしています。
「い、いえ…それは何の瓶なんでしょうか?わからないので必死に考えていたのです」
デリムったら、まだ苦しい言い訳をするのね。
「わからない?ではなぜこの瓶にお前の指紋がついているのだ?!」
シア王子の怒りが収まりそうにないわね。
「…指紋?とは何ですか」
アデレイト…本当に空気が読めないわね。
「指の模様みたいなものだ。これは1人1人違うもので個人が特定できるのだ!毒消しの瓶にはデリムの指紋、そして毒薬の瓶にはデリムとアデレイトの指紋がついていた!これでもまだ知らない、わからないと言い張るのか!」
2人は呆然とし床に崩れ落ちた。
「「そんなものが証拠に…」」
まあ、2人は知らなくて当然ですわ。
私も神様に教えてもらうまで知りませんでしたから。
「私は悪くないわ!デリムが勝手にあの女を殺したのよ。私は知らなかったんです!」
アデレイトよくそんな事が言えるわね。
「な!お前が殺そうと言い始めたんだろ!」
へぇ~、そうだったんですね。
2人は取っ組み合いのケンカを始めた。
そしてシア王子がまた切れました。
「五月蝿い!!ケンカを止めろ!お前達は罪を重ねたな!10年前の殺人と王子の私に対して偽証した罪!すぐに牢屋にいれてやるからそこで自分達の犯した罪をよく考えろ!ケンカの続きをしたいなら同じ牢屋に入れてやる!」
シア王子が話し終わると部屋の外で待機していた衛兵達が部屋に入ってきて2人を連れて行った。
部屋に残ったのはシア王子と私だけになった。
「すまない…。お前の両親のあんな姿を見せてしまって…」
シア王子が私を優しく抱きしめた。
いえいえ、私はあの姿が見たかったのです。
ケンカしてボロボロになっている2人を見れて気持ちが晴れましたよ。
「気になさらないで下さい。全て私の両親が悪いのですから」
シア王子が私に対して罪悪感を持つ必要はありません。
「ルナは優しいな…。暫くは屋敷に1人になるが大丈夫か?なんなら私が毎日訪れるが…」
シア王子が毎日来るのは無理でしょ?
「いえ、元々不在の多い両親でしたので使用人達がいてくれれば私は大丈夫です」
笑顔で返答すると、何故かシア王子は寂しそうな顔をした。
「そうか…残念だ」
ん?何か聞こえたような…。
「では、今日はこれで失礼するよ。また会いに来る」
シア王子は私の額に口付けをした。
「約束の記しだ。またな…」
私は顔を赤くして黙って見送るしかなかった。
シア…こんなことをするようになったのね。
なんだかくすぐったい感じだ。
私は気持ちを切り替えるために、1つ大きな深呼吸をした。
「さあ、今夜はパーティーよ!盛大に皆で祝いましょ!」
その夜は屋敷の使用人達とご馳走を食べて楽しい夜を過ごした。
本当…神様に感謝だわ~!
神様に色々と教えてもらわなければこんなにすんなりと復讐なんて出来てなかったわ。
そう、あれは私が殺されて天国に召された時の話し…。
☆いろんな疑問があるとは思いますが次回謎解きになります。もう残り2~3話になる予定です。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
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