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15. いよいよですね

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「お忙しいのにお時間を頂きありがとうございます」

私は礼儀正しくきっちりと挨拶をした。

「ルナ…どうしてそんな他人行儀なのかな?」

正式発表はされていないとはいえ婚約者なのだからそんなに硬くならなくても良いよ。

そうなんです。

何かの気の迷いかとも思っていましたが、あれからシア王子はいろんな所に手を回していつの間にか私の婚約者になっていました。

私の年齢がまだ幼いので正式発表は13歳になってからするそうです。

それも、もうすぐなんですけどね…。

何だがんだありましたが、準備も整いデリムの様子も怪しいのでそろそろ復讐を本格的にしようと思いシア王子に会いに来たのです。

何があるかわからないから、迷惑がかからないようにしておかないとね。

「急に会いたいなどルナにしては珍しいが何かあったのか?」

流石、鋭いですね。

「実はお父様達の様子がおかしいのです…。何かあるのではないかと不安で…」

おそらく、屋敷を処分しようとしていると見当はついているんですけど。

「ああ、それなら知っている。おそらく、屋敷を火事に見せかけて燃やすつもりみたいだな。証拠を隠滅するためにそこまでするとは…本当になぜキャロルがあんな奴を好きだったのか理解に苦しむ…」

シア王子が珍しく溜め息をつかれています。

しかし、流石と言うか…よく調べられていますね。

デリムが火事をおこそうとしていることまでお見通しだったなんて…。

私が感心してシア王子を見ていたらシア王子が慌てて話し出した。

「あっ、すまない。他の女性の名前を思わず口にしてしまったな。キャロルというのは私と従姉あたる人だ」

シア王子が慌てて謝罪してくれる。

誠実であろうとしてくれているのね。

「そうなんですね。教えて下さりありがとうございます」

私が笑顔で返答するとシア王子が少しムッとした表情になった。

「ルナは私から女性の名前が出ても気にならないのだな」

ん?これは…。

「いえ、キャロル様の事は調べていたので知っていたのです」

まあ、本人なんですけどね。

「そうなのか?!」

「はい」

シア王子は私に嫉妬してほしいのね。

…可愛いな。

今まで年下の男性と結婚するなんて考えたことがなかったけど結構良いかもね。

あっ、そうか…今は私の方が年下だったんだ。

つい、忘れてしまうわ~。

「そうだ、本題から外れてしまっていたな。ルナの両親の事はもう手を打ってあるから心配しなくて良い。ルナから預かった証拠品も役にたちそうだよ。ありがとう」

「いえ、元は私の家族のしでかしたことです。私がけじめをつけるのが本当ですのに…シア王子様に助けて頂いて感謝しかありません」

シア王子が私を優しく抱きしめた。

「辛いだろうが…私がいる」

「はい…」

本当は全然辛くなんかありません!

復讐をする為に神様に頼んでアイツの子供に生まれ変わったのです!

これからが楽しみでしかたないですよ。

フフフフフッ…。

さあ、首を洗って待っていてくださいね。

お父様、お母様…。



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