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11. 名案 〈デリム視点〉
しおりを挟むなぜ今頃になってキャロルの死因等を調べているのかと思っていたら…手紙だと。
そんな物がどこから出てきたんだ?!
一体キャロルは手紙に何を書いていたのだろうか。
だが、キャロルは自分が殺されるなんて思っていなかったはずだ。
手紙も幼かったあの頃の王子に出す普通の手紙だったかもしれない…と思いたい。
キャロルは俺とアデレイトの関係に気がついていたんだろうか?
いや…それは無いな。
アイツはお人好しで俺の言うことは全て信じていたくらいだから。
仕事で会えないと言ってアデレイトと会っていた時も、「お仕事頑張りすぎて体を壊さないようにしてください」とか言ってたからな。
騙しやすかったんだが。
しかし、手紙を読んだシア王子が証拠がどうのとか言っていたというのが気になる。
あの時の証拠なんて全て処分したはず…。
毒薬の入ったジュースもジュースを入れていたビンも全て。
後は何だ、なにがある。
そう言えば…。
あの時いくら探しても見つからない物があったな。
しかしあれだけ探しても見つからなかったから誰かが知らないで捨てたのだろうと思っていたが、違うのか…。
聞こうにもあの時雇っていた使用人は全てクビにして今の屋敷には当時の事を知っている者はいないからな。
チッ!こんな事になるなら1人くらい残しておくんだった。
イラつくのはルナにも原因がある。
我が娘ながら幼い頃より妙に大人びており可愛げがなかった。
顔は美人なのだが…。
性格が可愛くない。
今回も普通なら両親に先に手紙を渡すだろ。
なぜ、いきなり王子に渡す?!
しかも中も見ずに渡すなんてありえないだろ!
気のせいか、話し方や仕草がキャロルに似ている様な気がするから余計にイラつくのかもしれない。
話が逸れてしまったな…。
今はこの状況をどうするかだ。
この屋敷にまだ証拠がある可能性があるとしたら今のうちに探さなければいけない。
明日から大掃除と言って細かい所まで掃除させよう。
見つかった物は全て私に渡すようにと言っておけば心配はないだろう。
シア王子が我が屋敷に来る前に綺麗にしておかないと。
この件が片付いたらこの屋敷は売った方が良いかもしれないな。
呪われているかもしれない。
キャロルを知らないルナがキャロルの悪夢を見るようだし…。
そうだ!
いっそのこと…燃やしてしまえば何も残らないじゃないか!
必要なものや高価な物は新しい屋敷に移動させてそれから…。
我ながら名案だな。
明日、アデレイトに話してみよう。
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