上 下
6 / 20

6. 再会

しおりを挟む

フルルの仕事は早かったみたいですぐにシア王子からの手紙が届きました。

私と会ってくださるみたいです。

良かった…何とかなりそうね。

シア王子…たしか18歳になられたのよね。

成長したシア王子に会えると思うと嬉しい気持ちになります。

今回ばかりはきちんとした正装をしなければいけませんね。

流行の服だけど清楚な感じの服を着て私はシア王子に会いに行きました。

王宮の応接室に現れたシア王子はすっかり大人の男に成長されていました。

思わず涙が出そうになりましたが、根性でグッと堪えましたよ。

「初めてお会いします。デルセナ公爵家の長女、ルナと申します。この度は貴重なお時間を頂きましてありがとうございます」

「挨拶はもうよい、座りなさい」

声も声変わりを終えられて低くなっている事にまた感激して泣きそうになる。

見た目は少女、中身は叔母さん…辛いわ~。

「手紙を読んだが、あれは本当に屋敷で見つかったのか?」

やはり、疑っていますね。

「はい。掃除をしていたところ見つかったのです」

「貴女が自分で掃除をしていたのか?」

「はい…」

普通は侍女にさせますよね。

そこは気にしないで下さい。

「私はその手紙を読んでから、キャロル様の気持ちを思うと眠れず、誰に相談しようかとずっと考えていました。そこで、手紙にお名前があった伯爵夫人とシア殿下なら私のお話しを聞いてくださるのではないかと思い、まず伯爵夫人に会いに行ったのです」

「そうか…。これが真実なら私は貴女の両親に罰を与えなければならないことになるのだが…本当に良いのだな」

シア王子は私の心配をしてくださっているのね。

優しい人に育ったのね…。

「ご心配は無用です。私は1人でも大丈夫です。どうか両親に相応しい罰をお与え下さい」

私は少し興奮気味に返答した。

「フッ…君は不思議だな。懐かしい人にとても似ている。話し方も雰囲気も…姿形は全然似ていないのにな…」

シア王子は私…いえ、キャロルの事を言っているのがわかります。

中身は同一人物なのでそれは当たっているのですが…。

「貴女は両親が嫌いなのか?」

確信をついていますね。

本心を言えば大嫌いですけど、ここでそう答えるのは良くないかしら…。

「…わかりません。ほとんど屋敷にいることが無く顔を会わす事もありませんから」

「そうなのか…。両親はなぜ屋敷にいないのだ?」

そこ聞きますか?

「2人とも愛人の家にいるようです。私はお相手に会ったことがありませんので本当かどうかはわかりません」

シア王子が悪い事を聞いたという表情をする。

シア王子には幼い頃から疑問に思ったらすぐに聞く癖があり、直しなさいと言っていたのに、直っていないわね。

ここは、反省していただかなくてはいけませんね。

私は黙って涙を流しました。

私が泣いているのを見たシア王子は驚いています。

「すまなかった。幼い頃より何でも聞いてしまう癖があり直すように言われていたのだが直らなくて…本当に悪かった。許してくれ!」

しょうがないですね…反省したみたいですし、泣き止みますよ。

「私こそ涙を見せてしまい申し訳ありませんでした」

私は涙を拭きながら笑顔を見せた。

ん?

シア王子の顔が真っ赤になっている。

これはもしかして…ややこしい事になりそうかな?
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

【完結】あなたに醜い女と言われたので、身の程知らずのこの豚めは姿を消しますね

世界のボボ誤字王
恋愛
「シンシア、僕と婚約してほしい」  ヘビントン侯爵家の葬儀の夜、亡くなった当主の嫡男ヒューバート様がわたくしにそうおっしゃったのです。  わたくしは天にも昇る心地でした。だってわたくしは、彼のことをずっと好きだったのですから。 「僕に好きな人ができるまでだけど」  地べたに落ちたわたくしは、彼と結婚したいがために過ちを犯し、嫌われてしまいました。  三年後、兄がわたくしに婚姻話を持ってきました。その相手はなんとヒューバート様で……。  そうですわ! わたくしにできる贖罪は、窮地に陥る彼を助け、潔く去ることなのですわね。 ※容姿に対する優劣の表記がございます。苦手な方はご注意ください。  Rシーンは後半です。

処理中です...