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1. 幸せの絶頂だったはず…

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「愛しているわ…デリム」

結婚式が終わり、今私がいるのは寝室のベッドの上。

今から新婚初夜と言われるものを迎えようとしている。

「キャロル…喉が乾いてないかい?結婚式は疲れただろう。これでも飲むと良いよ…特製の疲労回復ジュースだよ」

ベッドの脇に置かれたサイドテーブルの上に用意されている水差しに手を伸ばそうとしているのは、私の幼馴染み…いえ、今日から私の旦那様になったデリムだ。

淡い金色の髪に濃い紫色をした大きな瞳、美しいという言葉だけでは足りないくらいに綺麗な人。

まさか、冴えない私がこんな素敵な旦那様を迎える事ができたなんて信じられないわ。

「キャロル、聞いている?」

「あっ、ごめんなさい。喉は今は乾いていないから、また後で飲むわ」

デリムが残念そうな顔をしている。

特製のジュースをそんなに飲んで欲しいのかしら?

どうしようかと思っていたらデリムが小さな小瓶に入った液体を飲んだ。

あの瓶は何が入っていたのかしら?

不思議に思って見ていると今度は先程から私に薦めていた特製のジュースを口に含んだ。

デリムはそれを口に含んだまま私の方に体を向き直す。

これって…。

口移しで私に飲まそうとしているの?!

初めての口づけなのに…。

そう、婚約者になってから何年も経っているがデリムは私と手を繋ぐこと以上のことはしてこなかった。

私は自分に魅力がないからなのかとデリムに聞いたことがある。

デリムは、キャロルを大事にしたいからそういう事は結婚をしてから…と言ってくれた。

私はデリムが私の事をそんな大事に思ってくれているなんて知らなかったら、嬉しくて大泣きしてしまった。

その大事にとっておいた2人の初めての口づけがジュースの口移し…。

エロすぎませんか?

内心興奮している私とは対照的に落ち着いた慣れた様子のデリムの顔がどんどんと近づいてきます。

私は静かに目を閉じてデリムを待ちました。

優しく唇に触れたと思ったら舌で口を開けられて特製ジュースが喉を通っていくのがわかりました。

はしたなくも口から漏れたジュースが唇から流れ落ちていきます。

私がコクッと喉を鳴らすとデリムが私から離れてしまいました。

「キャロル…安らかに永遠の眠りについてね…」

天使のような笑顔を見せてデリムが私を見つめていますが、言っていることが理解できません。

「デリム、どういう事?」

私がデリムに言葉の意味を聞き直した瞬間…。

体の内側が燃えるように熱くなり意識を失いました。

最後に聞こえたのは愛しい旦那様の冷たい言葉。

「やっとお別れできるよ。永遠にさようならバカなキャロル…」

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