10 / 10
10. ハッピーエンド?
しおりを挟む「本当にバカなんだな…。」
呆れたようにリリーシャはカダに剣を向けて言葉をはいた。
「な、何だと!」
カダはあろうことか私とリリーシャの婚約発表のパーティーで、リリーシャを殺そうとしたのだ。しかも訳のわからない理由を叫びながら…。
「こいつは王になれる男ではない!偽者だ!騙されるな!俺が皆の目を覚まさせてやる!」
とか言いながらパーティーに紛れ込ませていた私兵を動かして、リリーシャを襲わせた。おそらく…リリーシャが弱いと思っていたのでしょうね。
リリーシャは一見、華奢に見えるから。
実は脱いだら細マッチョなんですけどね。
あ~、リリーシャはあっという間に男達を倒してカダに向かってますね。
本当にバカとしか言いようがありませんわね。
もしも…リリが私にプロポーズをしてくれていなければこんな男と結婚することになっていたかもしれないと思うと…寒気がしますわ。
王様がゆっくりと立ち上がりカダを見ています。
「カダ…お前達には知らせなかっただけでリリーシャは私の息子で間違いはない。お前達に知らせなかったのはお前の母親が一番知っているだろう。牢屋の中で聞くがよい。連れていけ!」
一部始終を見ていた王様がカダを牢屋に連れていくように護衛に指示をだしました。どうやら王弟の妻…カダの母親も捕まるようですね。王妃様殺害の証拠が弟が亡くなった事で見つかったみたいです。
リリーシャのお母様…生きていらっしゃったら私達の事を喜んでくれたかしら…。
私のお母様が話していましたが、リリーシャに良く似たとても美しい人だったみたいです。
王様の一目惚れで、熱烈アプローチの末、結婚されたんですって。
女性なら憧れますよね。
あら?でも…今考えれば私も一目惚れだったのかしら?
初めてリリに会った時、天使様だわ~!なんて綺麗なの!大好き~!!って思ってましたわ。
あら?
「ルナリア…。待たせたね。」
甘い声で私の名を呼ぶのは、先程まで殺気だっていたリリーシャです。
「片付きましたのね。お怪我は無いようで安心しましたわ。」
私は笑顔でリリーシャの顔を見上げる。リリーシャは私の手をとり王様の座っている所にむかって行きます。
2人で王様に挨拶をした後、王様が申し訳なさそうな顔をみせました。
「ルナリアよ、迷惑をかけてしまってすまなかったな。許せ…。リリーシャを頼んだぞ。」
そう言い終わると、幸せそうな笑顔を見せてくださっています。
「はい。」
「さあ!仕切り直しだ!今夜は2人の新しい門出を祝ってやって欲しい!音楽を!!」
王様の一声で音楽隊が演奏を始めました。
「ルナリア、僕と踊っていただけますか?」
リリーシャが私の手の甲に軽くキスをする。
「はい。喜んで…。」
2人でフロアーに出て踊り始めると会場が騒がしくなりました。
「くっ、ルナ…。」
あ~、お父様が会場の隅で泣いていますわ。お母様がその横で私に手を振ってくださっています。お母様がついていて下さるなら安心ですわね。
あら?フロアーの入り口付近に沢山の衛兵がいます。あれは…ルルお兄様ですわね。私の方に駆け寄ろうとするのを部下の方に止められているみたいですわね。お兄様も早く婚約者が決まる事を願いますわ。
ルアお兄様は…いましたわ。
お母様がお決めになった婚約者のシア様にがっちり腕を掴まれて動けないみたいですわね。シア様はお母様に似たところがありますから、ルアお兄様は安泰ですわね。
「ルナリア…いつまでよそ見をしているんだい?」
耳元でリリに囁きかけられると、身体が勝手にビクッとしてしまいます。
「可愛いね、僕の天使…。」
適齢期なのに結婚できないかもしれないとあきらめていましたが、まさかこんな素敵な人と結婚できるなんて…。人生ってわからないものですね。
今までは家族に溺愛されて困っていましたが、これからは私が家族を溺愛しそうで心配です。
「リリーシャ様…幸せになりましょうね。」
「ああ、もちろんだよ。」
リリが私の額にキスをすると会場からため息が聞こえてきました。
「愛しているよ、ルナリア。」
「私もです。」
2人で微笑み、言葉をかわしながらダンスをする…。
幸せですわ。
私…家族に溺愛されすぎて結婚できないと思っていましたが、どうやら結婚できそうです!
「「「認めないぞ~!!!」」」
お父様達の声が会場に響いている気がしますが…気のせいですわね。
これでこのお話は終了です。
急に短編を書きたくなって他の作品が終わっていないのに書いてしまいました。
最後まで読んでくださった皆様、お気に入り登録をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
10
お気に入りに追加
240
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説

攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。




白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

顔も知らない旦那さま
ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。
しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない
私の結婚相手は一体どんな人?
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。
石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。
いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。
前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。
ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
退会済ユーザのコメントです
スミレ色の駒さん
感想ありがとうございます。
楽しんでもらえたなら嬉しいです。
お母様よりコメントです。
「やるですか…。それは皆様のご想像にお任せしますわ。ただ…やる時は…。オホホホホホ~。」
だそうです。
この物語で最強のお母様からでした。