家族に溺愛されすぎて適齢期ですが結婚できていません

縁 遊

文字の大きさ
上 下
8 / 10

8. お父様達は…

しおりを挟む


「号外~!号外だよー!!何と!王様には亡くなった愛する王妃様との間に王子様がいたそうだ!!!号外~!!」

 街中を馬車で走っていると凄い騒ぎになっていることがわかる。

「え?!じゃあ次の王様って…あの王弟のバカ息子じゃなかったってことかい?」

「そうらしいよ。でも良かったじゃないかい。これで安心して若い娘達を街中に出してやれるよ。」

「そりゃそうだね。」

 買い物中のご婦人達や、

「けっ!俺なんか、あのバカ息子に騙されて貢ぎ物をしちまったぜ。あ~!大損じゃねえか!!」

「俺もだ。でもあのバカ息子はどうするつもりなんだろうな。もうタダ飲みもタダ食いもできないぜ。誰にも相手にされないだろうな。」


 飲み屋で騒いでいる男性達などいろんな人達が口々に噂をしています。でも見つかった王子については何も言っていませんね。

「お嬢様…。そろそろ帰りませんと日が暮れてしまいますよ。」

 そう言ってアンナが開けていた馬車のカーテンを閉めます。

「そうね。気になるものだから…ごめんなさい。帰ります。」

 リリの噂が気になって街に来たついでに情報収集をしていましたが、噂のほとんどは王弟の息子のしかも悪口話でしたわね。

 しかもバカ息子って…。そんなに嫌われる事をしたのでしょうか?

 確かに見た目は大きな太った熊みたいで、歩く度に「ムフ~、ムフ~。」と言いながら歩いているので気持ち悪いのですが…。

「でも良かったですねお嬢様。」

「え?」

「好きな人とご結婚する事ができそうですね。」

「…アンナ。」

 リリと結婚する。そんなの考えたこともなかった未来だけど、不思議と今は違和感がないのよね。

「でも、これから大変よね。アンナにも迷惑をかけると思うけど付いてきてくれる?」

 王妃教育を受けないといけないし、その為に王城に住むことになったんです。

「もちろんです。お嬢様の行くところなら、どんな所でも付いていきます!」

 頼もしいわね。アンナが居てくれると安心できそう。

「問題はお父様達よね…。はあ~。」



 リリのプロポーズを受けた後、地下牢に縛られていたお父様達に報告をしに行ったのですが…。
(お母様が命じてお父様達を地下牢にいれていたみたいです。)

「許さん!」

「ルナは公爵家で面倒を見る!」

「俺達がいるから結婚なんてしなくても良い!」

 と3人が言ったのを聞いていたお母様がお怒りになってしまって…。

「フフッ…。面白いことを言いますのね。私はどうやら教育を間違っていたみたいですわ。再教育の必要を実感しました。」

 うん…地下だからかな。ものすごく寒くなってきました。気のせいかお母様から風が吹いているような…。でも怖くて見ることはできませんでした。

「ルナ、あなたはもうよいからここから離れなさい。後は私がやりますから。」

 目が笑っていないお母様とお父様達を地下に置いて私は屋敷に戻ったのですが…あれからお父様達のお姿を見てません。



「お嬢様、ご心配は無用です。奥様がすべて上手くやってくれます!」

 そうなんだけど…。それが一番心配でもあるのよ。



 お母様…やりすぎないでくださいね。

 



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

王子の呪術を解除したら婚約破棄されましたが、また呪われた話。聞く?

十条沙良
恋愛
呪いを解いた途端に用済みだと婚約破棄されたんだって。ヒドクない?

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

顔も知らない旦那さま

ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。 しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない 私の結婚相手は一体どんな人?

告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。

石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。 いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。 前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。 ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

処理中です...