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2. 幼馴染み
しおりを挟む「リリとお茶をするのが一番のストレス発散ですわ。」
私の目の前に座る薄紫の柔らかそうな髪にアクアマリンの様なキラキラな瞳、白磁器のような白い肌の美少女リリは私のお母様の御学友だった人の娘で私の幼馴染みです。
リリは私を見て花が綻ぶようにニコッと笑ってくれます。
あ~、私の天使が…今日も眼福ですわ。
リリは10年くらい前に罹った病気のせいで小鳥のさえずりのような綺麗な声がハスキーな声になってしまい、それからは人とあまり話をしなくなってしまいました。
こんなに美少女なのに…神様は意地悪ですわ!
お父様とお兄様達もお母様からの紹介であるリリには何も言えず見守っている状態なのです。
私にとっては一番心を許せる友人。
…お父様達は女友達にも厳しいから中々同姓の友人も作ることができないのです。
「男の兄弟はいないだろうな?」
「誰かにルナの事を探るように言われて来たんじゃないか?」
「ルナに悪い知識をつけるつもりなのか?」
…など色々とお茶会にきたご令嬢に難癖をつけまくりです。
いつしか私の回りの人達は遠巻きから見る様になってしまいました。
仕方ありませんが…。
因みに世間では私の事を「フォンダン姫」と言っているそうです。
まるでお姫様のような警護を家族にされているからと聞かされて、王族でもない私が姫などと…不敬罪にならないのかと心配したこともありましたわ。
リリが紙に文字を書いて私に差し出します。
そこには"ルナはまた綺麗になったみたい。何かあったの?"と書かれていました。
「もう、リリったら…。化粧品を変えたのだけど…わかる?」
リリは頷いてくれています。
こんなに綺麗な美少女に"綺麗になった"って褒められるなんて恥ずかしくなりますわ。
「リリの方こそまた身長が高くなりましたね。スラッとした美人になりそうで羨ましいですわ。私ももう少し成長しても良いと思うんですけど…。」
リリは最近伸び盛りというものなのか会わない間に10センチ以上も身長が高くなっていました。前は私より少し高いくらいでしたのに…。
羨ましいですわ。
…私は身長も胸も成長しませんわね。
"ルナはそのままで充分可愛いから心配ない"
リリは私にそっと紙を見せてきます。
「リリ…。」
嬉しくなってしまって、私は思わずリリに抱きついてしまいました。淑女としてはあるまじき行為ですわね。
リリは驚いていた様子でしたが抱きしめ返してくれました。男性でしたらお父様達が何をするかわからないのでこんな風にはできませんがリリは同性ですから大丈夫でしょう。
たぶん…。
…と思っていたのですが。
「「「ルナ~!離れろ~!!」」」
ドドドドドッと凄い足音と共にお父様達が私の所までやって来ました。
3人ともが凄い形相をしています。
…あら?お父様、お兄様達もお仕事はどうされたのですか?
もしかしてお仕事をオサボりしたのですか?
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