龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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85. まさか!?

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 目的だったじいちゃんに会うことができてから俺は魂を抜かれた様になっていた。1つの大きな目標を達成したことでやりきった感じというのかな…そんな感じがして今までみたいになかなか気合いがはいらないんだよね。

 だけど1つ気になるのは最後の龍神様の言っていた話し。じいちゃんが俺の近くに転生するかも…って話がずっと引っかかっている。

「あれ…絶対に面白がられているよな。」

『わかっているじゃないか。』

 一回り大きく成長した姿の翡翠が少し笑うような感じで話しかけてきた。実は龍神様との話の後で翡翠が急に大きくなったんだ。翡翠曰く『お前が成長したからだ。』らしい。

 俺的には急に大きくなって凄みが増した翡翠にまだ慣れないんだよね~。

『え!?やっぱりそうなのか。』

 同じ龍同士なら気持ちも通じる?翡翠が言うならやっぱりからかわれてる?

『だが、半分はお前へのご褒美だと思うぞ。』

『俺へのご褒美?』

 なぜじいちゃんが転生することがご褒美になるんだ?俺の頭のなかはハテナマークで一杯だ。

『お前はおじいさんが好きだったから近くに転生させてやろうと思ったんじゃないか。直接聞いた訳ではないから想像だかな。』

 そうなのか?!

 じいちゃんが近くに居てくれるのは嬉しいけど…少し複雑になるだろ。だって…じいちゃんが俺より年下になるわけだよね。俺より年下なのに中身はじいちゃん…。複雑以外の何物でもないよ~!

 しかもあの言い方…。かなり身近に転生する感じだよね。可能性を考えてみると…。

『そんなに思い詰めないで良いんではないか?なるようにしかならないぞ。』

 まあそうなんだけどさ。

 確かに…今から身近で産まれてくる赤ちゃん全てを疑ってみたところで赤ちゃんが自分がじいちゃんの生まれ変わりだと話してくれるわけではなしな。

『そうだね。考えるのは止めるよ。』

 楽しみにして待っていた方が良いか。じいちゃんの方から言ってきてくれるまで…。

『それより明日からテストじゃないのか?』

『うっ…。痛いとこをつくよね。その通りなんだけどさ…。』

 テスト勉強していても集中できないんだよね。やらないといけないのは分かっているんだけど手につかないんだ。

『邪魔しないように俺も消えるとするか…。』

 翡翠はフッと笑って消えた。

 部屋も静かになったことだし勉強するか…。

 俺は何とか気合いを入れて勉強を始めた。




「テスト…難しすぎ。」

 テストを終えて、佐藤くんが机に伏せている。

「うん、今日のテストは難しかったね。」

 大谷くんは実は学年でもトップの成績なんだよね。その大谷くんが難しいって言うんだから相当な問題だったんだな。

 俺も佐藤くんと同じくテスト…難しかったと感じてる。大丈夫かな。今回のテストは進級テストだったんだよ。まあ、終わったから今更何をいっても仕方ないんだけどね。

「でも、テストが終わったら家に帰れるね。」

 大谷くんは家に帰るのか。

「そうだな~。」

 佐藤くんも帰るんだね。

 学年の進級テストが終わると数日休みがあるんだ。みんなそれを楽しみにしてるんだよ。家に帰る人もいれば寮に残って友人達とのんびりする人もいるみたい。

「八岐くんはどうするの?家に帰るのか。」

 佐藤くんが机から身体を話して伸びをしている。

「どうしようかと迷っていたんだけど家から手紙が来て、帰ることになってるんだ。」

 家族から3日くらい前に手紙が届いたんだ。今度の休みは帰っておいでとだけ書いてあった。

「じゃあ、休みはみんなバラバラだね。休みあけにまた遊ぼうね。」

 新聞部もこの休みだけは活動していないらしい。寮に残る人が何人かいてその人達が自主的に取材をしてくれるんだって。

「うん。外にご飯食べに行こうぜ!」

 佐藤くんはやっぱり食べ物関連なんだね。佐藤くんの言葉に大谷くんと俺は頷いた。


 翌日、朝早くに寮を出て家に帰った。

「竜ちゃん、お帰りなさい。」

 すぐに母さんが出迎えてくれた。

 あれ…母さん…太った?だけど女性に太った?は禁句だよね。前世で学んでいます。

「ただいま帰りました。お父様は仕事ですか?」

「そうなのよ。今日は早く帰ってくるって言っていたわ。夕食には帰って来ると思うからそれまでゆっくりしなさいね。あの人が帰ってきたらゆっくりできないと思うから。」

 母さんは声をあげて笑っていた。いつも忙しい父さんが夕食に帰ってくる?やっぱり何かはなしでもあるのかな。

「わかりました。」

 夕食の時間、母さんの言っていた通り父さんが帰ってきていた。

「竜~!お帰り~!!待ってたよ!!!」

 顔を見たとたんに父さんに抱きつかれた。変わらないな。

「ほら貴方、まずはご飯にしましょう。」

 母さんに促されて父さんは俺から離れた。

 久しぶりの実家での夕食を楽しんでいたら、やはり父さんが俺に話があると言い出した。

「実はな…。竜…。あのな…。」

 ハッキリしないな。何が言いたいんだろうか?

「あ~もう、私が言います。竜ちゃん、あなたお兄さんになるの。」

「へ?!」

 母さんが椅子から立ち上がりお腹を擦っている。

「ここに竜ちゃんの弟か妹がいるのよ。」

「え~!!!」

 いや、龍神様…まさか、まさかじいちゃんじゃないですよね~!!!



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