龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

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84. やっと会えた

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『竜よ、頑張ってくれたのだな。』

 そりゃ~、じいちゃんに会えると思って頑張りましたよ。

 俺はすべての問題を解決し、龍神様と話をしている。じいちゃんに会わせてくれると言っていた約束を実行してもらうからだ。

「あの~、それでじいちゃんはどこにいるんですか?」

『せっかちな奴よの~。連れて来ておるから安心せえ。少しくらい私と話をしても良いじゃろ。』

 龍神様は呆れたような顔をしている。でも理解して欲しいよ、俺はじいちゃんに会いたくてここまで頑張ってきたんだよ。

『お前のおかげでこの世界に龍達が戻って来ている。感謝する。このままお前には頑張ってもらえたら嬉しいと思っておるのじゃ。』

 まあ、龍達の事は俺の趣味みたいになっているから龍神様に言われなくてももちろん続けるつもりだった。

『わかりました。』

『頑張ってくれるのか。これでこの世界は安心できるな。それではお待ちかねのご対面といこうかの。』

 龍神様の話が終わると同時くらいに目の前が光に包まれて見えなくなった。俺は眩しくて目を閉じた。光がおさまり目を開けると…そこには会いたかったじいちゃんが元気な頃の姿で立っていた。

「じいちゃん!」

 俺はじいちゃんに駆け寄った。…しまった!俺は姿が変わっていたんだ。じいちゃんは人間違いされていると思っているかも!

「相変わらず元気そうだな、竜太よ。」

 あれ…俺ってわかるのか?

 俺は自分の姿を確認した。すると転生前の姿に戻っていた。龍神様がしてくれたのか?!

「龍神様から話しは聞いたぞ。神様に頼られるなんて無いことだから全力で頑張れよ。」

「うん。わかってるよ。」

 じいちゃんは俺の頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。これは昔からのじいちゃんの愛情表現だ。無口なじいちゃんは言葉では優しいことは言わないひとだった。俺が落ち込んでいたりするとそばに来て何も言わず今みたいに頭をぐしゃぐしゃと撫で回してくれていた。

 俺はじいちゃんの大きくて暖かい手で撫でてもらえるのが大好きだった。

 けど…じいちゃんの手はこんなにも細くなっていたんだな。

「じいちゃん…俺、ずっと言いたかったんだけど恥ずかしい、いつでも言えると思ってて言えないままになっていたんだけど…。」

「なんだ…。」

「じいちゃん…ありがとうございました。俺を育てるのは大変だっただろう。本当は感謝してたんだ。だけど…俺は素直じゃないから言えなくて。じいちゃんがいなくなってから後悔していたんだ。」

 俺はじいちゃんに言えなかった感謝の言葉を口にすることができた。

「何言ってんだ。俺はお前がいて楽しかった。苦労なんて思った事はないぞ。」

 久しぶりに見るじいちゃんの笑顔に涙が止まらなくなった。

「お前は今…幸せか?」

「うん。俺は生まれ変わって姉が7人もいるんだ。大家族だろ。それに両親も良い人だよ。今は学校に行っていて友人もできたし毎日楽しいんだ。幸せだよ。」

「そうか、良かったな。これでワシも安心できる。」

 じいちゃんは俺を心配していたのか?

「じいちゃん、俺の事はもう心配しなくて大丈夫だからな。じいちゃんも幸せになってくれよ。」

「ハッハッハ!まさかお前に心配されるなんてな。」

 じいちゃんが大笑いしているのを見るのは初めてだった。

「お前が成長したという事だな。もう本当に思い残すことはないな…。」

 じいちゃんの身体が急に真っ白く光だした。

「え?じいちゃん…どうした。」

 俺は直感的にじいちゃんが消えてしまうと理解した。

「じいちゃん!もう少し話がしたい。まだ居てくれよ!」

 慌ててじいちゃんの身体を掴もうとしたが掴めない。なんでだ!?

「何、子供みたいな事を言ってるんだ。お前はもう1人で大丈夫だ。頑張れよ。じゃあな。」

 光がさらに大きくなったと思ったらだんだんと小さくなってじいちゃんごと消えてしまった。

「じいちゃん…。」

 言いたい事は言えたけどもう少し話がしたかった。それなのにじいちゃんはあっさり「じゃあな。」と言い残して消えてしまった。

「相変わらずあっさりしすぎだよ。」

『感動の対面は終わったみたいだな。』

 姿を消していた龍神様がまた現れた。

『はい。約束を守って頂いてありがとうございます。』

 俺はお辞儀をしてお礼を言った。

『そちらも約束を実行してくれたからな。当たり前の事じゃ。』

『あの~、じいちゃんもこの後、転生するのですか?』

 ちょっと気になったんだよね。

『そうじゃな。お前の事を心配して天界にとどまっていたみたいじゃが、それも無くなったみたいだし転生するかもしれんな。』

 やはりそうなのか。じいちゃんが見守ってくれている感じはあったんだよ。死んでまで俺の心配してくれてたなんて…。

『もしかしたら、お前のすぐ近くに転生するかも知れんな…。』


『え?それはどういう…。』

『まあ、楽しみにしておれよ。』

 龍神様は笑いながら姿を消した。

 いや、最後の言葉が気になるんですけど~!

 龍神様カムバッ~ク!!!


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