龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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83. 解決

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「え…。なぜお前がそれを知っているんだ。いや…まさか…。」

 ペリー王子が分かりやすく狼狽えている。人払いをしておいて良かったですね。そんな姿を他の人に見られたくなかったでしょうし、こんな話を聞かれても困りますよね。

「証拠もありますから、言い逃れしようとしても無駄ですよ。」

「何!?証拠…。」

 面白いくらい今までの偉そうな態度と違うな。そりゃそうか、この秘密が知られたら今の地位は無くなるからな。

 そう俺が掴んだ…いや、正確には翡翠が掴んだ情報はペリー王子にとっては人には知られたくない情報だった。

 実はペリー王子の母親は側室だった。正室には身体の弱い王子が1人いたが大人にはなれないと言われていたらしい。そこで誰が次の男の子を産むかで側室達が争っていたらしいのだが、次に産まれたのはペリー王子だったのだ。

 ここまでだと何も問題はないのだが…。

 側室達は1人2人ではなく、10人もいたらしい。その側室達を順番に訪れていた訳でもなく、ペリー王子の母親は王様と1回夜を共に過ごしただけでペリー王子を授かったらしい。

 無いことではないと思うが…。タイミングが良すぎると思い翡翠が調べたら、やはり王様の子供ではなくペリー王子の母親がひっそりと付き合っている愛人との間にできた子供らしいということが分かったのだ。

 王様の血を受け継いでいないのだから王位継承権はもちろん無いよね。

 それを証明するためにペリー王子の髪の毛を手に入れて鑑定に出した。王様の髪の毛は翡翠が手に入れてくれてたんだ。

 これは実はペリー王子も学校に来る直前に知ったらしい。それから人が変わったと黒龍が嘆いていた。

「姉さん達を側室にしないと約束していただけるなら誰にも言いません。」

「そんな事信じられるか!言うだけなら何とでも言える!!」

 確かに…そういう人もいるだろうな。

「では龍に誓います。それに書類にサインでもしますよ。」

 ペリー王子は鼻で笑う感じなんだけど、なんで?

「龍に誓う?なんだそれ。」

「神様に誓うのと同じです。僕にとっては龍の方が身近な存在なので嘘はつけないと思って…。」

 そうか、そうだよね。普通は神様に誓うんだよね。だってこの学校がそうだしな。

「書類にサインするというのは本当だろうな。」

「はい。僕にとっては隣国の問題は関係ありませんからね。姉さん達がそこに関わりがなければ良いだけです。」

 ペリー王子は黙って考えてるみたいだけど、そんなに姉さん達に未練があるのか?!結構大変だぞ。見た目は確かに綺麗かもしれないけど中身は外見と全然違うのにな皆が外見に騙されている。

「1人だけでも駄目か?」

 譲歩しているつもり?駄目に決まってる。

「そうですね。ペリー王子にはもっと素晴らしい女性が自国にいらっしゃると思いますよ。」

 俺は全快の作り笑いをして見せた。

「そうか…。1人も駄目か。」

 残念そうだな。姉達の普段の姿を見せたらどうなるだろう。

「…分かった。」

 しぶしぶと言った感じだが納得してくれたみたいだ。

「ありがとうございます。そう言って下さるだろうと思い書類も用意してきました。」

 俺は持ってきた書類全てを目の前に出した。ペリー王子は呆気にとられているみたいだ。

「これのここと、後はここにサインをお願いしますね。あっ、これは僕がサインしている書類です。お渡ししておきますね。」

 ペリー王子に秘密は誰にも話しませんと書いた書類を渡して、俺の方の書類にもサインしてもらった。

 翡翠に頑張ってもらったかいがあったよ。これで姉さん達は隣国に行かなくて済む。

『良かったな。すんなりと終わったな。』

『ありがとう、翡翠のおかげだよ。』

 翡翠が照れているらしく、身体をくねくねとさせている。

『これでゆっくりさせてもらえるな。』

 え…そんなに労働を強いてたかな?

 確かに働かせていたかな。反省します。

『ご、ごめん。』

「おい!聞いてるか?!」

 ペリー王子に大声で話しかけられて翡翠との会話は終了。

「あ、すいません。考え事をしてました。何ですか?」

 大きなため息を俺に見せつけるようにしている。

「今回の事は皆に広まっているだろ。」

 確かにそうだな。学校の噂になっているし、父さん達が動いていたくらいだからな。

「だから、俺が急に引き下がると何かあったのかと調査されるかもしれない。それは困るから理由を揃えたいと思う。」

「はぁ…。」

 まあ、言っていることは理解できる。でも、理由って…どうするんだ。

「俺が振られたと言うのはないから、お前の姉さん達が俺に惚れて勝手に噂が流れたと言うことにする。」

「はあ~!!??」

 いや、そんな事が姉さん達の耳に入ったら俺はどうなるか…。何を言っているんだ?!

「いや、無理でしょ。ペリー王子が言っているのを見たのは僕1人だけではないですよ。」

「そうだったか…。じゃあ、俺の許嫁が嫉妬したので取り止めたと言うことにしよう。」

 最初からそれでお願いしますよ~。

 これで何とか姉さん達の側室問題は解決できたみたいだ。

 あ~、疲れた。






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