龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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82. 頑張れ俺!

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 俺の予感は当たっていた。学校に来ていたお偉いさんはペリー王子の関係者らしい。

 もしかして側室の話をしに来たのか…?

 不安しかない。

 早く翡翠が帰って来ないかな。あの秘密の確かな証拠があればこの話は無かったことになるはずなんだよ。

「八岐くん、顔色悪いけど大丈夫?」

 大谷くんが心配してくれている。

「ごめん、考え事をしていただけなんだ。」

 まだ授業中で、グループワークしている最中だった。ボーと考え事をしている場合ではなかった。

「授業クラスに考え事とは余裕だな。」

 織田先生が俺の頭をグリグリと抑えるように触っている。

「すいません…。」

 謝るしかないな。

「お前の心配している事は予想できるが、今は授業に集中しろよ。」

「はい。」

 そうだ、織田先生も署名してくれていたのに、まだお礼を言ってなかったな。後で言わないと…。

「じゃあ、八岐くんの意見も聞こうか。」

「えっ…と。」

 グループのみんなが笑っている。

「全然聞いてなかったんだね。」

「ごめん。」

 俺は顔を赤くして謝った。今日は何回謝るんだ。

「今度は聞いててよ。」

 俺は頷きながら説明を聞いた。集中しよう!


「はぁ~、やっと終わった。」

 やっと今日の授業が全て終わった。

「今日は何回も謝っていたな~。」

 佐藤くんが笑いながら俺の肩を叩いている。

 恥ずかしいとしか言えない。

「どうする?この後食堂行く?」

「今日は部屋に帰るよ。家から手紙が来ているかもしれないしね。」

「そうか。分かった。じゃあ、また明日な。」

「うん。また、明日。」

 俺は足早に自分の部屋に向かった。なぜなら翡翠の気配を感じているからです。

 部屋に入るとすぐに翡翠が姿を見せた。

『待ってたよ~。どうだった?』

『龍使いの荒い主人の願いを叶える為に頑張った…と言えば良いか?』

 翡翠も冗談言うんだ!顔が笑ってる。

『見つけてるって事だよね。』

『当たり前だ。だか、隠している所は分かったが実際に動くのはお前の仕事だぞ。』

 それが難しいよね。

『翡翠は見張りをしてくれる?』

『分かった。手伝えば良いのだろう。』

『さすが、翡翠。じゃあ、頑張るよ。』

 夜の闇夜に紛れて俺と翡翠は探し物を見つけるために、こそこそと学園の中を歩き回った。

 もちろん見つけたよ。おかけで寝不足だけどね。

『ふぁ~、寝た気がしない…。』

『しかし、今日はペリーを問い詰めるのだろう?』

『問い詰める…じゃなくて交渉する。姉さん達の為に頑張るよ。』

『お前らしい言い方だな。』

『翡翠に頑張ってもらったから俺も頑張るよ。』

 フフッと鼻で笑う様な声を残して翡翠は消えた。一緒にいてくれないんだな、と少し寂しく感じたが、姿を見えなくしただけできっと側にいてくれるだろうと考えなおした。

 俺はペリー王子に、放課後に話がしたいのでどこかて会えませんか?と手紙を書いてお付きの人に渡した。

 すると昼休みには手紙の返事が返ってきた。ペリー王子も俺に話があったのだろうか。

 場所は学校の来賓室、17時と指定されていた。

 緊張するな…。

 でも上手くやらないと姉さん達の運命がかかっているんだ。しっかりしろよ、俺。

「今日も顔色悪いけど本当に大丈夫?」

 今日もクラスメイト達が心配してくれている。友達って本当にありがたいな。でも、彼らをこれ以上巻き込むわけにはいかない。

「いつも心配してくれてありがとう。大丈夫だよ。」

 何だか冷静になれた気がする。

 俺は席を立ちみんなに「また明日な。」って手を振って来賓室に向かって行った。

 放課後の騒がしい廊下を歩きながら、俺は気合いをいれるために自分の胸に手をあてて叩いていた。

 来賓室が見えた。

 さあ、ここから勝負だ!



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