龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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80. 嘘だろ…

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 俺は信じられない光景を目にしている。

『何なのこれ…。』

 あまりにも信じられなくて声に出してしまった。

『日本で言うところの雨降って地固まるってやつじゃないか?』

 冷静な声で話す翡翠。いや、だってさ…。

 今、目の前に信じられないほどの沢山の龍がいるんだよ。これが興奮せずにいられる?!

『しかし…まさか、ペリー王子の龍について調べて帰ってきたらこんな事になっているとわな。よほどクラスの皆の気持ちが1つになりやる気が満ち溢れたのだろう。』

 そう、なぜこんなに沢山の龍が集まっているのかと言うと、ペリー王子の事件のおかげ…と言いたくないけど結果的にそうなったんだよね。

 ペリー王子が姉さん達を側室にと言った事でクラスメイトがそれを阻止しようと一致団結した結果…龍が集まって来たみたいなんだよね。

 そう言えばみんな、やる気に満ち溢れていたからな。プラスのエネルギーがでてたのかな。

『良かったな。クラスのほとんどの奴は龍がもうついたみたいだぞ。』

 翡翠がニヤニヤしながら言うのが腹が立つけど、俺の目標が叶っていくのは単純に嬉しい。

 これで龍神様にも、じいちゃんにも胸を張って会えるというものだ。

 

『ねぇ、それより黒龍について調べて来てくれたんだよね。教えてよ。』

 帰ってきたと思ったら相変わらずの嫌な言い方にイラッとさせるよ。

『なんだ知りたいのか?』

『当たり前だろ!早く報告してよ!』

 翡翠って何でこんなにひねくれてるんだと思うよ。まったく…。

『結果から言うと…。黒龍に会えたんだ。ただ少しペリー王子と離れて過ごすと言っていた。』

 いつも一緒にいるのが普通なんじゃないの?

『奴が言うにはペリー王子は幼い頃は今とは違っていたそうだ。何事にも一所懸命に取り組む姿が気に入ってつくことになったみたいだが…。ここ数年はすっかり変わってしまい、人を貶(おとし)めたりするようになってしまい、黒龍は変わってくれる事を願いながら待っていたそうだが…。疲れてしまったと言っていた。』

 龍が疲れる…相当だよね。何があったんだ?貶めるって誰を?気になる事が沢山あるよ。

『じゃあ、ペリー王子って暫く龍はつかない状態なんだね。』

『そうなるな。』

 う~ん。黒龍がついてくれていれば本人が話さなくても龍から聞ける事があるかもと思っていたけど駄目みたいだな。どうしようかな。

 おまけに姉さん達の問題解決に役立ちそうなものも得られなかっ…いや、あった!人を貶めたというのを調べれば良いんだ。誰をどうやって貶めたのか、それがペリー王子の仕業だと分かれば国での立場は弱くなるんじゃないか?!

『まさか、それも俺に調べてこいとは言わないだろうな。』

『さすが翡翠!良くわかっているよね。調べて下さい、お願いします。』

 俺は翡翠に両手を合わせてお願いした。

『お前…龍使いが荒すぎるぞ。』

 そう言いながらもいつもやってくれるのが翡翠だと俺は知っている。

『分かった…行けば良いんだろ。調べてくる。』

『ありがとう翡翠。』

 やっぱ、持つべきものは良い龍だよね。感謝。

 さてと、翡翠が調べてきてくれる間に俺も動かないといけないよな。

 父さんからそろそろ連絡がきてもおかしくないと思うんだけどな…。

 カタッ…。

 俺の部屋の郵便ポストに何かが入った音がした。寮の部屋の扉の横には郵便ポストが取り付けられていて部屋の中で受け取る事ができるようになっている。

 開けてみると、やはり父さんからの手紙だった。

 書き出しから重いな…。

 
 

 "愛する可愛い息子の竜へ"
 

 今回の件について対応を確認したが、まだ結論が出ない状態だ。

 娘の親としてはあんな王子の側室…しかも5人もなんてあり得ないから絶対にお断りしたいと思っている。が本音だ。

 だが、国家の関係者として隣国との関係も考えるとそう簡単な話ではないと言うのが辛いところだ。

 それで竜にお願いがある。あの王子の弱みを見つけてくれないか?それを交渉材料にして話を潰したいと考えている。

 よろしく頼む。  

 父より



 考える事が似ているのはさすが親子と言うべきなのか…。やはり翡翠の持って帰って来てくれる情報を待つしかなさそうだな。

 良い情報を掴んで来てくれよ翡翠…。


 

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