80 / 86
80. 嘘だろ…
しおりを挟む俺は信じられない光景を目にしている。
『何なのこれ…。』
あまりにも信じられなくて声に出してしまった。
『日本で言うところの雨降って地固まるってやつじゃないか?』
冷静な声で話す翡翠。いや、だってさ…。
今、目の前に信じられないほどの沢山の龍がいるんだよ。これが興奮せずにいられる?!
『しかし…まさか、ペリー王子の龍について調べて帰ってきたらこんな事になっているとわな。よほどクラスの皆の気持ちが1つになりやる気が満ち溢れたのだろう。』
そう、なぜこんなに沢山の龍が集まっているのかと言うと、ペリー王子の事件のおかげ…と言いたくないけど結果的にそうなったんだよね。
ペリー王子が姉さん達を側室にと言った事でクラスメイトがそれを阻止しようと一致団結した結果…龍が集まって来たみたいなんだよね。
そう言えばみんな、やる気に満ち溢れていたからな。プラスのエネルギーがでてたのかな。
『良かったな。クラスのほとんどの奴は龍がもうついたみたいだぞ。』
翡翠がニヤニヤしながら言うのが腹が立つけど、俺の目標が叶っていくのは単純に嬉しい。
これで龍神様にも、じいちゃんにも胸を張って会えるというものだ。
『ねぇ、それより黒龍について調べて来てくれたんだよね。教えてよ。』
帰ってきたと思ったら相変わらずの嫌な言い方にイラッとさせるよ。
『なんだ知りたいのか?』
『当たり前だろ!早く報告してよ!』
翡翠って何でこんなにひねくれてるんだと思うよ。まったく…。
『結果から言うと…。黒龍に会えたんだ。ただ少しペリー王子と離れて過ごすと言っていた。』
いつも一緒にいるのが普通なんじゃないの?
『奴が言うにはペリー王子は幼い頃は今とは違っていたそうだ。何事にも一所懸命に取り組む姿が気に入ってつくことになったみたいだが…。ここ数年はすっかり変わってしまい、人を貶(おとし)めたりするようになってしまい、黒龍は変わってくれる事を願いながら待っていたそうだが…。疲れてしまったと言っていた。』
龍が疲れる…相当だよね。何があったんだ?貶めるって誰を?気になる事が沢山あるよ。
『じゃあ、ペリー王子って暫く龍はつかない状態なんだね。』
『そうなるな。』
う~ん。黒龍がついてくれていれば本人が話さなくても龍から聞ける事があるかもと思っていたけど駄目みたいだな。どうしようかな。
おまけに姉さん達の問題解決に役立ちそうなものも得られなかっ…いや、あった!人を貶めたというのを調べれば良いんだ。誰をどうやって貶めたのか、それがペリー王子の仕業だと分かれば国での立場は弱くなるんじゃないか?!
『まさか、それも俺に調べてこいとは言わないだろうな。』
『さすが翡翠!良くわかっているよね。調べて下さい、お願いします。』
俺は翡翠に両手を合わせてお願いした。
『お前…龍使いが荒すぎるぞ。』
そう言いながらもいつもやってくれるのが翡翠だと俺は知っている。
『分かった…行けば良いんだろ。調べてくる。』
『ありがとう翡翠。』
やっぱ、持つべきものは良い龍だよね。感謝。
さてと、翡翠が調べてきてくれる間に俺も動かないといけないよな。
父さんからそろそろ連絡がきてもおかしくないと思うんだけどな…。
カタッ…。
俺の部屋の郵便ポストに何かが入った音がした。寮の部屋の扉の横には郵便ポストが取り付けられていて部屋の中で受け取る事ができるようになっている。
開けてみると、やはり父さんからの手紙だった。
書き出しから重いな…。
"愛する可愛い息子の竜へ"
今回の件について対応を確認したが、まだ結論が出ない状態だ。
娘の親としてはあんな王子の側室…しかも5人もなんてあり得ないから絶対にお断りしたいと思っている。が本音だ。
だが、国家の関係者として隣国との関係も考えるとそう簡単な話ではないと言うのが辛いところだ。
それで竜にお願いがある。あの王子の弱みを見つけてくれないか?それを交渉材料にして話を潰したいと考えている。
よろしく頼む。
父より
考える事が似ているのはさすが親子と言うべきなのか…。やはり翡翠の持って帰って来てくれる情報を待つしかなさそうだな。
良い情報を掴んで来てくれよ翡翠…。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

旅の道連れ、さようなら【短編】
キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。
いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。

いつだって二番目。こんな自分とさよならします!
椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。
ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。
ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。
嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。
そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!?
小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。
いつも第一王女の姉が優先される日々。
そして、待ち受ける死。
――この運命、私は変えられるの?
※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。
次男坊と言っても末っ子です。
もちた企画
ファンタジー
人類において環境に準じるのは容易くは無いファンタジーな世界で集落より少し外れると魔物が溢れかえり人類存亡の危機がそこにはあった。
主神メガイス様の力で増えすぎた魔物を封じることに成功したがそれは当時の話、今は封じた空間に穴が空いて魔物が一部姿を表していた。
名称は「ダンジョン」
主神の妻で豊穣の女神アストレアは人類に加護を与えた。四大属性「火・水・風・土」。
人々は体内に流れる魔力を感じ精霊に感謝をして魔法を使えるようになった。
特に強い属性魔法の使い手を王の側近貴族として囲い込んだのが今の魔法至上主義だ。
自分の属性に合った生活をする人々で構成され、それぞれの生活を送っていた。
時はヴァルデン四世治めるウェストヴァルデン。
その首都から西に進んだ伯爵領地の首都カイランで生まれたシティーボーイ次男坊が6歳で執り行われる祝福の儀で土属性を扱えるようになったお話。
主要な国
ウェストヴァルデン (Westvalden)
- 古い森と堅牢な城塞が特徴の西部の王国。長い歴史を持ち、貴族階級と騎士道が重んじられる国。
イーストリア (Eastria)
- 東方に位置する、交易と文化が栄える国。多くの学者や魔法使いが集まり、学問や魔術が発展している。
ノルデンヘイム (Nordenheim)
- 北方にある寒冷な地域に広がる王国。厳しい自然環境の中で強靭な戦士たちが育ち、騎士団が国を守っている。
ルミナス (Luminis)
- 女神アストレア信仰を中心とする宗教国家。教会の影響力が強く、神聖な儀式や聖騎士団による巡礼が盛んに行われている。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる