龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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79. いろいろありすぎ…

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 八岐姉妹親衛隊…そんなものがあったのを知らなかった八岐家長男の竜です。今はクラスの皆と別れて自分の部屋に戻ってきました。

「…疲れた。」

 ドッと疲れるとはこういうことなのか…。嬉しい感情から怒りや驚きとジェットコースターの様に自分の感情が動いていたから余計にそう感じるのかな。

 本当に短い時間にいろいろとありすぎなんだよ。

 "八岐くん、八岐くん家族の方から魔電です。"

 日本で言うと無線みたいなものかな、この世界では魔線と言うんだけどね、それで呼び出された。本当は家に連絡するのもこれでしようかと思ったけど文章として残しておいた方が良いかと思って手紙にしたんだよね。連絡は手紙では遅いと思った家族の誰かだよね。

 さあ、誰からかな。父さんか、それとも姉さんか。

 俺は部屋に繋いでいる魔線から家族に繋いでもらった。

「もし…。」

 俺がもしもし…と言おうとしたら途中で遮られてしまった。

「ちょっと竜、これはどう言うことなの!?」

「え!?」

 聞こえてきた声は父さんでも姉さんでもなく母さんの声だった。

「え!?じゃないわ。このペリー王子ってどんな人なの?これは書き間違いよね?桃花から下の娘達全員を側室にするなんて…。こんなバカな事を言う人はいないわよね。竜ちゃんがうっかりミスしたのよね?」

 物凄い早口でまくし立てるように話している。母さんこんなに早く話せたんだ。

 だけどそんなことよりも母さんが俺をそんな風に見ていた事の方がショックだよ。

 取り敢えず、今は気を取り治して…。

「…残念ながら書き間違いではないです。ペリー王子から聞いたままを書きました。」

 俺は冷静に落ち着いて真実を話した。

「嘘…。隣国の王家って…大丈夫なの?」

 母さんが呆れる様に言っている。それは外では言わないようにね。

「この国では側室は認められていないとご存知ではないのかしら?」

 それは俺も思ったけど確かめてないからな…。

「それは確かめていないので分かりません。だけど知っていたとしても隣国は側室制度がありますからね、それを言われると思いますよ。」

 あまり話したことは無いけれどそんな感じの人物だよな。

「え…そんな嫌な感じの人物なの?!最悪ね。そんなの絶対に可愛い私の娘達を嫁がせたくはないわ。どうしてやろうかしら…。」

 最後の言葉が気になりつつも話を進めた。

「お父様は何て言っていらっしゃるのですか?」

 隣国との関係もあるからこういうことは父さんの意見を聞いた方が良いと思うんだけど…。

「ああ、お父様は走り回っていらっしゃるわよ。事実確認と対応をどうするかでいろんな関係者と話し合っているみたい。」

 すぐに動いてくれてはいるだな。

「姉さん達は?」

 どちらかと言えばこちらの反応の方が怖いんだよ。

「面白い冗談ねって、笑っていたわ。今はそれぞれの学校に戻ってしまったから、また連絡しないといけないわね。冗談ではないと知ったらどうするかしら…。」

 想像するのが怖いんだよ。このまま姉さん達には知らせないで問題を解決できないかな。

「お母様、姉さん達に知らせるのは少し待っていただけませんか?あまり心配させたくはありません。」

「でも…。大丈夫かしら?」

 母さんは迷っているみたいだ。

「お父様が何とかしてくださると思います。僕ももう一度ペリー王子と話をしてみますよ。」

 それまでには翡翠が何かしら良い情報を持って帰ってきてくれそうな気もするしね。

「…分かったわ。お父様と貴方に任せてみるわ。でも何かあったらすぐに連絡はしなさい。」

「分かりました。」

 何とか母さんの気持ちも落ち着いたみたいで、魔線を切った。

 父さんがどこまでやってくれるのか…。政治は異世界であっても難しいからな。

 魔線を切った直後に誰かが部屋の扉をノックした。

「はい。開いてますから中に入って下さい。」

 扉を開けて顔を覗かせたのは真剣な顔をした、大谷くんと佐藤くんの2人だった。さっき別れた所なんだけどまだ何かあるのかな?

「これ!皆の署名なんだけど、ここに八岐くんも名前を書いてくれないか?」

 見るとそこには"八岐姉妹を側室にする事を反対します"と書かれていた。八岐親衛隊と名乗っていたクラスメイト全員と違うクラスの人や違う学年の人達の名前もあった。この短時間でこんなに…。

 え!…教師まで。織田先生の名前もあるよ。先生大丈夫なの?

「凄いね…。こんなに沢山の人達が書いてくれたんだ…。僕も書くね。」

 俺は一番最後に名前を書いた。

「これをペリー王子に渡すの?」

「いや、隣国の王家に渡すつもりだ。ペリー王子だと聞いてくれるか怪しいからね。」

 さすが冷静な大谷くんの判断だね。
 でも、誰がこれを渡にいくのかか気になってしまう。

「誰が隣国まで渡に行くの?」

「聞いてないのか?八岐くんのお父様だよ。」

 佐藤くんが驚いたような顔をして教えてくれた。

 知らなかった。そんな話しになっていたのか。いや、なぜ息子の俺に知らせない?

「たぶん…八岐くんのお父様はこちらに向かっておられるはずだ。」

 また、来るんだね。

「ありがとう、これは大切に保管させて貰うよ。」

 俺は2人から書類を受け取った。書類を俺に渡した2人はホッとした顔をして部屋から出て行った。

 本当にいろいろとありすぎじゃない?









 

 



 
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