龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

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78. 八岐姉妹親衛隊

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 あれから大急ぎで父さんに手紙を書いて送った。もちろん速達で!あの王子は何をするか分からないと考えたからだ。

 姉さん達にもペリー王子からの手紙を読むようにと送った。見たら悲鳴をあげるだろうな。見てみたかった。

 ペリー王子には部屋の扉に手紙を挟んでおいた。たぶん、暫くは何も言って来ないだろう。…と思う。

『相変わらず、面白そうな事になっているな。』

 翡翠出てくるのが遅いよ。

『やっと姿を現したね。聞きたいことがあったんだ。』

『何だ?』

『ペリー王子についていた黒い龍についてなんだけどさ。この前は気配すら感じなかったんだよね。何かあったのかな~と思ってさ。』

 ペリー王子と話をしていた時に黒い龍を探したんだけど気配すら無くて不思議だったんだよね。いつも、少し廊下ですれ違うだけでも気配を感じていたのにさ。

『愛想がつきて離れる…なんてこともあるの?』

『絶対に無いとは言いきれないが…。まずないな。我々は相手を決めたら基本はその人間が亡くなるまでついている。』

 やっぱりそうだよね。

 でも、そもそも何故あのペリー王子についたのかな?

 努力なんてしてなさそうだし、偉そうだし、偉そうだし…。人間的に問題があると思うんだけどな。龍が好む前向きな人間とは違う様なきがするんだけど。

 昔は今と違っていたとか?

 いやいや、想像できないな。素直でがんばり屋のペリー王子。

 その辺りを、前から黒い龍に聞いてみたかったんだよね。でも話すチャンスが無かったんだよな。

 俺がペリー王子が苦手というのもあるけど。

 あー!もう!せっかく、じいちゃんと会えると思って幸せな気持ちだったのが、あのバカ王子のせいで本当に台無しになっちゃったよ!

 俺はあの王子に構うなら1人でも多くの生徒に龍をつける活動をしたいのに…。

 まあ、最近は生徒リストを山の銀龍に渡したおかげでスムーズにいっているんだけどね。本当にありがたい。持つべきものは良い友達と良い龍だよ。うんうん。

 明日には父さん達に手紙が届いているかな。早く連絡が欲しいけど、外交関係もあるからすぐには無理かもな。取り敢えずは姉さん達からの反応待ちだな。待たなくても断りの手紙が送られてくるのは目に見えているけどね。

『しかし…そう言えば黒龍の姿を最近見ていないな。』

 やっぱり翡翠もそう思うのか。何かあったんだろうな。

『翡翠…。』

『何を言いたいかは分かっている。調べて欲しいだろ?』

 良くお分かりですね。

『その通り。さすが、翡翠だよね。』

『お前は顔に書いてあるんだよ。分かりやすすぎるんだ。』

 前にも言われたね。でも気にしないよ。

『あまり期待するなよ。』

『ありがとう、翡翠。気をつけてね。』

 翡翠はすぐに姿を消した。どうか良い情報が分かります様に。

 ペリー王子に関する何かに繋がっていればもっと嬉しいな。今回の件を取引する時に役に立つかもしれないよね。

 あの王子なら、叩けばいっぱい何か出てきそうだよね。

「八岐くん、何か面白い事になっているんだって?」

 大谷くんがものすごい笑顔を見せながら近づいてきた。相変わらず情報得るのが早くない?誰だしゃべったの。

「え?何が…。」

 一応分からないふりでもしておこう。自分から話すことはないよね。

「またまた。僕の情報収集能力をなめてはいけないよ。ペリー王子に近い人から聞いたんだからね。」

 あの王子は側近までダメなのか?!簡単に王子についての事を話すのはダメだろ!

「まだ黙秘するのかな?お姉さん達を側室にと言われたんだよね。」

 大谷くんはさらに僕に近づいてきて小声で話す。やっぱりダメ側近がいるんだな。なんて事を話すんだよ!

「僕としてはあの王子にお姉様全員を差し出すと言うのは許せないんだよね~。」

 ん?

 大谷くんの雰囲気が変化した。怒ってる?

「え?」

「だってさあんなに綺麗なお姉様達を独り占めしようなんて…男なら誰しもが思うかもしれないけど、実際にしてしまっては恨みを買うというものだと思うんだよね。いくら隣国の王子でもこの国の宝を根こそぎ持って行かれては困るよね~。」

 この国の宝?姉達の事かな?

「大谷くんは怒ってるの?」

 俺の顔を見てニヤリと笑う大谷くんの顔が怖いんですけど~。

「僕だけではないよ。クラスの全員…いや親衛隊全員と言っても良いと思う。みんな出てきて!」

 え?親衛隊?気になるワードがありましたけどそれは何?

 その時、どこからか人が集まりだした。

 どこに隠れてたの?いつからそこにいた?!

 気がついたらクラスの皆が集まってきていた。

「え?え!え?!何!!!」

「いや、八岐くんのお姉様達の一大事と聞いて皆が集まったんだ。」

 佐藤くんの真剣な顔…久しぶりに見たよ。

 …クラスの皆がそんなに姉さん達の事を気に入っていたとは知らなかった。

「俺達八岐姉妹親衛隊、八岐姉妹の為になら何でもするよな!」

 佐藤くんが後ろにいるクラスメイトの方を向いて大声をあげた。

「「「「「「「おおおおおおおおーーー!!!!!!!」」」」」」」

 凄い気合いだ。

 八岐姉妹親衛隊…。

 何だかすごいことになってきたけど…大丈夫かな?





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