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77. ペリー王子からの…
しおりを挟む「何でしょうか?」
俺は行きたくなかったが呼ばれているので仕方なくペリー王子のいるところまでやってきた。用事があるなら自分が来れば良いと思うんだけど!
「………。」
え?人を呼びつけておいてまさかの無言ですか!?
「あの、用がないなら帰りますけど…良いですか?」
俺は強気に出た。だって眠たいんだよ~。早く部屋に帰らせてくれ。
「…いや、待て。」
ペリー王子が立ち去ろうとした俺の腕を掴んだ。
何なんだよ!用があるなら早く言ってくれよ!
「何ですか?」
「いや…。あの…。」
イライラするな。こっちは寝不足なんだから早く用件を言え。俺は思わずペリー王子を睨んだ。
「お前!王子に失礼だぞ!!」
ペリー王子と一緒に来ていた、隣のクラスの奴が俺につかみかかる。
「やめろ!!」
それをペリー王子が止めた。
「しかし…。」
「良いから、止めろ!」
ペリー王子、普通に話せるじゃないか。その調子で俺にも早く用件を言って欲しいもんだな。
「話は別の部屋でする。ついてこい。」
は…何でしょうか…ついてこい?何で俺が王子について行かないといけないわけ?
「遠慮します。僕は昨日眠る事ができなかったので部屋に帰って早く寝たいんです。話は明日にしてもらえませんか?ふぁ~。」
俺はアクビであいた大きな口をおさえながら言った。
「な!こいつ、甘い顔をすれば!!」
王子のクラスメイトが再び掴みかかってくる。今度は止めないんだな。
「明日だと時間がとれるのか?」
王子は冷静みたいだ。顔は怒っているみたいだけどね。
「明日なら大丈夫だと思います。なんなら手紙にでも書いて部屋のドアに挟んでおいてもらえば読みますけど?」
話しにくそうだったしね。その方が良いと思うんだけど。今から話をしたところで俺はイライラしてしまうと思うしね。
「…分かった。考えておく。」
良かった。提案は受け入れてくれそうだ。
「では、ふぁ~…失礼します。」
俺はすぐに部屋に帰って寝た。それはもうぐっすりと。目覚めたのは次の日の朝の5時だった。
「ふぁ~、よく寝た。スッキリした。ん?」
顔を洗おうとベッドから降りて洗面所に向かう途中でドアに何かが挟んであるのに気がついた。もしかしてと思いドアを開けてとってみる。
「やっぱり、ペリー王子からだな。」
ペリー王子からの手紙だった。しかもけっこう分厚い(笑)普段は無口な感じなのに文章は饒舌なのか。そんなので王様になれるのか?
取り敢えず、顔を洗ってから見ることにした。
顔を洗い、身支度を整えてから手紙を読んだ。
何て書いてあるんだろう。
八岐様
この度は口で上手く説明できないので手紙にした。私が言いたかったのは先日の学祭の時に来られていた、君の家族というかお姉様の事についてだ。
率直に言うと、私は君のお姉様達を気に入った。喜べ全員を側室に迎えてやる。八岐家からすれば良い話だろ。学祭の日はお姉様達と話は出来なかったがきっとお姉様達も私を見れば気に入るだろうし、この話も喜んでくれるだろう。なんせ私は隣国の王子だからな。
………。
手紙はまだ続いているけど…。
何だよこれ!!!
はあ?姉達全員を側室に迎えてやる!?
姉達もペリー王子を見れば気に入って喜ぶ!?
はあ~!?
俺様だとは思っていたけど、まさかここまで酷いとは思っていなかったよ。手紙の出だしでこれだと続きを読むのが怖いんだけど…どうしようかな。
三つ子の姉達の誰かを気に入ったのかと思っていたら、まさかの全員だし…。そもそも隣国では側室が認められているかも知れないが、我が国では側室は認められていないということを知らないのか?側室なんて姉さん達が嫌がるに決まっている。それに、ペリー王子も姉達のタイプではない。
姉達にこの手紙を見せたらどんな反応するだろう。面白い事になりそうだな。きっとペリー王子は痛い目を見ることになる。…面白そうだな。
決めた!
この手紙を姉さん達に見てもらおう。判断は姉さん達に任せるとしようかな。俺はペリー王子に姉さん達に伝えましたとだけ言っておけば良いだろう。
両親にも手紙を書いて送っておこうかな。外交ルートでこの話を持って来られるとややこしくなりそうだから、父さんに対処してもらおう。
…手紙を最後まで読まないとダメかな。気が重いよ。でも読まないと進まないよね。
俺は気合いを入れて続きを読んだ。
知っていると思うが私は隣国の王子である。その私に見初められるなんて事は大変な名誉だ。この国と我が国との友好関係にも役立つであろう。
しかも私の側室となれば皆から羨望の眼差しで見られること間違いない。全ての女性から羨ましがられるぞ。私は女性にモテルからな。だから姉妹の1人を選ばずに全員にしたのだ。姉妹で喧嘩をしないようと考えての事だ。
感謝しなくても良いぞ。お前は私の義理の弟になるのだからな。これからは私の事をペリー兄さんと呼んでもかまわない。
………。
ダメだ。最後まで読めない。
アイツの頭の中はどうなっているんだろか?
それとも、隣国のモテル基準って低いのか?
「はーぁ。お腹空いたからご飯食べてからまた読むか…。」
どうやら波乱の予感は当たってしまったみたいだ。
もう!何なんだよこのダメ王子は!!
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