龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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72. 呪いの正体

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『あの…何か気にさわりましたか?』

 言葉で表現するならゴゴゴゴゴッー!!!という感じさえする気迫?オーラ?みたいなのを感じます。

 大谷くん達は一体何をしたんだよ~!

『あ奴らの知り合いだったのか…。』

 俺は小声で翡翠に話しかけた。

『ねぇ、翡翠…。もしかしなくても俺達は怒られるのかな?』

『もしかしなくてもそんな感じだな。』

『やっぱりか~。』

 たぶん翡翠はなぜ銀の龍が怒っているのか分かっているんだろうけど何も言わないし、動かない。

 これは俺が謝罪をした方が良さそうだな。

 あれをするしかないか…。

『僕の友人がご迷惑をかけたなら申し訳ありませんでした。』

 俺は地面に額をつけて土下座して謝罪した。

 前世のサラリーマン時代は嫌な先輩にやらされていたからな。慣れたもんだよ。

 自慢にもならないけどね。

 とにかく最大限の謝罪をするという気持ちを見せるというには、俺にはこれしか思いつかない。

『…何をしたのかは知っているのか?』

 銀色の龍が先程までとは違う声のトーンで話しかけてきた。

『いえ、詳しくは何も聞いていません。ただ友人はここに来た後から体調を崩した様子だったので気になって僕が勝手に調べに来ただけなんです。』

 嘘は言ってない。本当に大谷くんからこの山で何をしていたのかとか、何があったのかは聞いていないからね。

『この山が何と呼ばれているかは知っているか?』

『はい、先日知りました。恥ずかしながら世間に疎いみたいでこの山の存在事態を知らなかったのです。』

『そんな者が居たんだな。』

 銀色の龍は少し鼻で笑った。

『あ奴らは、この山について調査をすると言ってズカズカと山に入山して迷わないためにと言って、草木を傷つけていきおった。』

 なるほど大谷くん達は山で道しるべにと思って木に傷をつけたりして進んで行ったんだな。

『おまけにこの山で火まで使い焦げた後をつけて帰りよった。ワシの可愛い山に傷をつけて何も無いと言う方がおかしいだろ?』

 なるほどね。なぜ銀色の龍が怒っていたのかは理解ができたよ。

 大谷くん達はこの山に調査に来てこの山で焚き火をしておそらくご飯でも食べたんだろう。慣れない道に迷わないようにと木に傷をつけてこの山の中を歩きまわったんだな。銀色の龍にしてみたら自分の家に他人が勝手に入ってきて好き勝手に家の中を荒らして帰って行ったと感じて当然だな。

 大谷くん達…何をしてるんだか。

 でも…それってこの銀色の龍が大谷くん達を呪っているってことなのか?

『馬鹿者!ワシは呪いなどかけておらぬ。あ奴らはこの山で採取したキノコを食しておったが、体調が悪くなったのはあのキノコが原因だあのキノコは食用ではないからな。』

 えええーーー!!!

 何それ!龍と全然関係ないじゃないか。もしかして今までの人達も呪いと言っていたのはそのキノコが原因なんじゃ…。

『その通りだ。』

 やっぱりそうなんだ。龍は迷惑だよね。勝手に人間達が山に入ってきて勝手に山に生えているキノコを食べてそのせいで起こった体調不良を龍のせいにされて…。あっ、何だろう俺まで腹がたってきたな。

『あの…。この山の入り口に立て看板をしておきませんか?』

『立て看板?何のためにだ?』
 
『この山に勝手に入って、勝手にキノコを食べないようにと書いておくんです。』

 そうすれば人間は少なくともキノコは食べないだろう。

『そんなことをしても効果はないんじゃないのか?』

『そんなことはないと思いますよ。少なくともキノコは毒キノコだと書いておくと食べることは無くなります。そうすれば呪いだと言われる事は無くなるかと…。ただ山に入らないようには難しいかもしれませんが。』

『ふむ…。』

 銀色の龍は暫く黙ったまま尾っぽだけをパタパタを動かしていた。

『何もしないよりやった方が良いか。ではお前に任せよう。』

 何とか納得してくれたみたいだ。

『そう言えば…。あの~、ここで食べたキノコの種類を教えてもらっても良いですか?帰ってから毒に効く薬を調べたいと思うので分かると嬉しいです。』

『なるほど。あれは…。』

 銀色の龍は丁寧に実物までみせて教えてくれた。

 これで大谷くん達の体調不良を治せる。

『それともう一つお願いがありまして…。』

『まだあるのか。何だ言ってみろ。』

『長生きをされている龍さんなら知っているかもしれないのでお聞きしたいのですが…。』

『だから何だ?!』

 銀色の龍はイラッとしているみたい。だけど俺としてはどう聞いて良いのか迷っているんだよな。

『あの~、僕はそこの学校の生徒なのですが生徒全員に龍をつけるにはどうしたら良いですか?何か良い方法とかありますか?』

 聞き方がストレート過ぎるかな?でも他にどう言っても同じ様になってしまう気がするしな~。銀色の龍はさっきのイラッとした感じが無くなりキョトンとした雰囲気になっていた。

 あれ?何かおかしかったかな。

『…そんな事か。それなら…。』

 銀色の龍はこれから何時間もかけて俺に話をしてくれた。

 いや!長くない?
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