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70. 呪いの山
しおりを挟む「佐藤くんのおかげで好き嫌いがなくなってきたよ。」
委員長が美味しそうにご飯を食べている。ここでも佐藤くんにお礼なのか…。当たり前だけどさ…。
少しいじけてしまうのは多めにみてほしい。
「良かったな!好き嫌いがあると成長できないぞ!いっぱい食べろよ!」
佐藤くんがお母さんに見えてしまうのは俺だけかな?
「久しぶり…。」
俺達の前に久しぶりに姿を見せたのは大谷くんだ。大谷くんは部活の活動で忙しかったらしく、授業が終わるとすぐに部活に行ってしまって話す機会が最近はあまり無かったんだよね。
それにしても…。
「何だかすごい疲れてない?」
目の下にクマができているし、元々痩せていたけど更に痩せてない?いったい何があったの?
「分かる…?最近、どうも身体の疲れが取れないんだよな。」
少し前は生き生きと部活動をしていたのにな。
あれ…そう言えば大谷くんについていた龍の姿がない?
『翡翠いる?』
俺は翡翠に教えてもらおうと思って翡翠を呼んだ。
『何だ?』
よかった、側にいてくれていたみたいだ。
『大谷くんついていた龍はどこかにいる?』
翡翠は周りを見渡す様な動作をした。
『…いや、居ないな。』
『どこかにいったの?』
『…わからんな。』
何だか曖昧な答え方だな。
『もしかして大谷くんから離れたの?』
『…わからんな。』
またその答えかよ!
何か…雲行きが怪しい感じがする。せっかく委員長の方は上手く行きそうなのに…。
『翡翠、悪いけど調べてくれない?』
『…調べる?』
『ただ、どこかに出かけているだけなら良いけど、大谷くんの元を離れたとしたらなぜ離れたのか。調べないて今後に活かさないとね。』
翡翠は面倒臭いなという雰囲気を醸し出している。
『お願いします。』
俺は両手を合わせて拝むように翡翠に頼んだ。
『…仕方ないな。まったく…。』
翡翠は何かぶつぶつ言いながら姿を消した。
「大谷くん、最近何かいつもと変わった事はない?」
「変わったこと?」
大谷くんは腕を組んで考え込んでいる。
「あるような…ないような。」
いや、どっちだよ。
「今、新聞部で追っている事件があるんだけどその事件の調査で禁止区域とされている山に入ったんだけど…それからなぜだか物事が上手くいかないような気がするんだ。」
禁止区域の山?
「え!?もしかして神龍山に入ったのか?!」
ここで話しにくいついてきたのは俺には塩対応の委員長だった。
「何か知っているの?」
俺は興奮している委員長にきいてみた。
「逆に知らない奴がいるのか?神に関する山だぞ?お前らは本当に知らないのか?」
ん?バカにされているのか。そんなにメジャーな山なの?
「あ~、思い出した。あの伝説の山の事か。」
佐藤くんが口の横に天丼のご飯粒をつけながら話している。今日も絶好調のようだ。
「伝説の山…。え!あそこが…うわぁ。それでか…。」
話を聞いていた大谷くんの顔色がますます悪くなっていく。そんなにヤバイ山なのか?
どうやら何も知らないのは俺だけらしい。
「え…と、ごめん。僕だけ知らないみたいだね。教えてもらえるとありがたいんだけど。」
委員長が聞こえる様に溜め息を大きくついている。本当に塩対応すぎない?
「本当にお前みたいな奴が…。なんで佐藤と…。」
何か言いかけて途中で止めた。
「神龍山は昔、龍達の住みかだったと言われている山なんだ。ただむやみに人が入るのを嫌がるみたいであの山に勝手に入ると呪われると言われているんだったかな…あってるか?」
佐藤くんが委員長に確かめている。
「さすが佐藤くんだね。分かりやすい短い説明だったよ。内容もあっていたよ。」
委員長…佐藤くんにはやっぱり笑顔で対応するんだ…。
「そんな山があったんだ。知らなかったよ。…?でも呪い!え!大谷くん大丈夫なの?!」
悠長に話を聞いている場合ではないんじゃない?
「呪い…なのかな?この体調が悪いのは?」
…考えてみれば龍に呪う力なんてあるのか?無いよね。じゃあ、ただの噂なのかな。
「働きすぎなんじゃないか?放課後はずっと動いていただろ?休みの日も出ていたし…。あれじゃ身体を壊してもおかしくないと思うぞ。」
佐藤くんって意外と人の事をよく見ているんだ。
「さすが佐藤くんだね!」
俺の言いたかった事を委員長にとられた。
でも…龍が住みかにしていた山に行ってみたいな。そうすれば呪いかどうかも分かると思うんだよね。
「あのさ…僕がその山に行って調べてくるよ。」
「「「え!!!」」」
三人が一斉に俺の顔を驚きの表情で見た。
そんなに驚くことなの?
もしかして…危険なのかな?
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