龍神様に頼まれて龍使い見習い始めました

縁 遊

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65. 俺は何かしましたか?

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「え!?あのクラス委員長につけたいのか?」

 翡翠が名前を出したのは俺のクラスの委員長だった。以前に全校生徒と仲良くなろうとして頑張っていた時に委員長にも話しかけたが…あんまり感じが良くなかったんだよな…。

『委員長と同じ雰囲気の龍が知り合いでいるから気が合うと思うんだ。』

 委員長と同じ雰囲気…真面目そうってこと?

 俺のクラスの委員長、名前は黒田 勘吉(くろだ かんきち)だったかな…。凄い真面目で人とはあまり話をしている所を見ない。先生とは話しているのを見かけるけど…。いつもクラスでは一人で行動している。

 顔は…ほとんど下を向いているから見たことがあまりないんだよな。覚えてない。眼鏡をかけているってことくらいしか印象がない。

『翡翠がそう思うなら良いんじゃないか。』

 俺は委員長のこともよく知らないし、そのマッチングしたい龍についても知らないししな。

『何を他人事みたいに言っているんだよ!お前は委員長に接触して龍が興味を持つように頑張れよ!』

『え?!』

『え?!じゃないぞ。それがお前の仕事だろ!俺は龍とコンタクトをとる。お前は人間に接触して龍をつきやすくするのが仕事だろ!忘れたのか?』

 忘れていた訳ではないけど…。

『何だ?なにか不満なのか?』

 翡翠は俺の表情を見て気持ちを読み取ったらしい。

『不満っていうか…。今は少し休みたいと言うか…。何で委員長なんだと言うか…。』

 愚痴が止まらない。翡翠は呆れた顔をして聞いている。

『お前は…。少し頭を冷やせ!』

 翡翠は姿を消した。

「怒らせちゃった…。」

 わかっている。翡翠の言っている事は正しい。俺が失敗しそうになって次に行く勇気が出ないのが悪いんだよな。ごめん…翡翠。

 反省した事を態度で示すため俺は委員長に接触してみることにした。翡翠どこかで見ていてくれるかな。

 今日は学校は休みなのでランチの時に食堂で委員長を探してみた。

 いた…。一人でご飯を食べている。

 俺は急いでランチを注文して委員長が一人で座っている席に向かった。

「あの…ここの席空いてるかな?」

 委員長はチラリと俺を見て頷いた。相変わらずクールですね。

「なに?さっきからじっと見てるけど用があるなら早く言いなよ。」

「え…ごめん、そんなに見てたかな。別に用は無いんだけど…。」

 まさか龍に興味ないですか?って突然言えないよな。怪しすぎる。

「…。」

 何か言いたげに委員長が俺を見ている。

「委員長は何で委員長に立候補したの?」

 無言に耐えられず当たり障りのない質問をしてみました。

「…後で役に立つから。」

 ご飯を食べながら俺には顔を向けないで話している。俺…嫌われてるのかな?

「役に立つって?」

「はあぁぁぁ~。」

 うわー、凄い嫌そうな大きな溜め息ついたよ。

「僕は将来やりたいことがあるので、委員長とかもやっておいたほうが良いだろうと思ったから。将来の為に役に立つからと言うのはそういう意味だよ。これで良い?」

 将来やりたいことって何だろうか?聞きたいけど聞くとまた怒らせそうだよね。

「あ、教えてくれてありがとう。ごめんね、変な事を聞いちゃってさ。」

 委員長…本当に手強い相手です。

 でも、今の話を聞いていたら龍が興味を持ちそうな感じがするな。何より翡翠が委員長に目をつけたのがわかる気がするよ。

 色々と考えている間に委員長はご飯を食べ終わってしまった。

 委員長が席を立とうとした時、佐藤くんが俺達の所にやってきた。

「佐藤くん見つけた、あれ?珍しいコンビだな。」

 だよね。

「委員長はもう食べ終わっちゃったのか。食後に甘いものは食べないのか?」

 さすが佐藤くんだね、聞くのが食後のデザートについてなんだ。

「僕は甘いものが苦手なんだ。」

 あれ?佐藤くんとは委員長は普通に話している。

「そうなのか!甘いものは美味しいのにな~。残念だな。甘いものは脳にも良いらしいぞ。勉強後の疲れた頭には糖分が効くぞ!」

 佐藤くん…マイペースだね。甘いものが大好きだもんね。

「そうなのか。疲れた頭に効くのか…。」

 委員長が佐藤くんの言葉に反応している。やっぱり俺の時と態度が違うよね。何で?!

「お、そうだ。ちょうどそこで甘いものを貰ったんだ。良かったらこれ勉強の後に食えよ。」

 そう言って佐藤くんが委員長に渡したのはチョコチップの入ったクッキーだった。おおかた、食堂に来るまでに佐藤くんの大食いファンから貢がれた物だろう。佐藤くんの服のポケットが大きく膨らんでいるのが見てとれる。

「良いのか?」

 委員長嬉しそうだな。俺の時はこんな顔見せなかったよね。

「うん、どうぞ。俺は他にも沢山貰ったしな。」

 佐藤くんは注文していた沢山の料理を取りにカウンターに向かった。

「佐藤くん…良い人だな。」

 そうだけど…なんだか腑に落ちない気がするのは俺の心が狭いからなのか?

「良かったね、委員長。佐藤くんは自分が甘いものを大好きだから委員長にも好きになってほしかったんじゃないかな。」

 俺は勇気を出して委員長にもう一度話しかけた。

「……そう。」

 あ~、またクールな委員長になった!

 なんだよ何かしたのかな俺?!
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