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61. 優勝者は誰だ!

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「お~と佐藤弟の食べる速度が急にあがったー!一体何があったんだー!!」

 さっきまでの速度の2倍くらいはあるんじゃないか?物凄い速さで田楽が佐藤くんの口に消えていく。

 熱くないのかな?

 俺なら口の中を火傷しそうだな。

 みるみるうちにお兄さんと差をつけていっている。まさかお兄さんが猫舌だったとは…。

 ラッキーだったというべきか…。

 それとさっき佐藤くんの目が光った様な気がしたのはもしかして…アイスに反応したからなのかな。

 佐藤くんってそんなにアイスが好きだったのかな?でも今まで食べていた所を見たことが無いような…。

「はやい!速すぎるぞ!!佐藤弟!!!どんどん兄を突き放していく!!!」

「「「「「おおおおお!!!」」」」」

 会場のボルテージが上がっている。佐藤くん達兄弟の戦いは新聞部が報じた事によって皆が知る事になり、この戦いを見るために皆が来ていると言っても良いくらいだと思う。

「俺の予想は兄だったけど、弟もなかなかやるな。兄はこのまま終わるのかな。」

「俺は最初から弟だと思っていたよ。いつも食堂で見かけていたけど凄い量を食べていたからね。このまま優勝するだろうと思う。」

「僕は兄がこのままでは終わらないと思う。逆転のチャンスを伺っていると思うな。」

 周りの生徒達は様々な予想をたてているみたいだな。兄が逆転のチャンスを伺っているか…。実は俺もそんな気がしているんだよな。あのお兄さんがこのまま大人しく負けるとは考えられないんだよね。

「おっと…。佐藤兄が作戦を変更したのか?鍋に入っている田楽を全て取り出して皿の上に出しているぞ!何をするつもりだ?!」

 鍋の中に入っていた大量の田楽を全て出しているけど、まさかあれを全部食べる気なのか?!

 佐藤くんはお兄さんの事は気にせずにひたすら食べている。佐藤くんの田楽も残りがわずかになっているな。頑張って佐藤くん!!!

「「「「「おおお!!!!!」」」」」

 会場がどよめいた。

 何があったんだ?!

「佐藤兄…凄い速さで田楽が口の中に消えていっている!!これはすごすぎる!!!」

 お兄さんが皿にのせていた田楽を猛スピードで食べている。佐藤くんよりもはやい!

 さすがに気になったのか佐藤くんもチラリとお兄さんの方を見ているみたい。負けるな佐藤くん!!

「佐藤兄弟互角の戦いになった!勝つのはどっちだーー!!!」

 とうとう佐藤くんとお兄さんが食べた本数が同じになった。お兄さんスゴすぎるな…。

 二人とも負けてたまるかと食べて食べて食べまくっている。

 これは…最後まで勝負の行方は予想できないな。

「他の出場者も頑張っているが二人には追い付かない!!」

 確かに机の上に置かれている田楽がさしてあった串が確認できる様に並べられているが佐藤くん達とは比べ物にならない。

 その時だった…。

「ゴホッ…、ゴホゴホッ…。」

 お兄さんが田楽を喉に詰まらせたみたいで、むせ始めた。おさめようとお水を飲んでいるけどなかなか治らないみたいだ。

「これは佐藤兄タイミングが悪い!むせが治まらない!!その隙に佐藤弟がラストスパートをかけているぞ!!!」

 佐藤くんはもう少しで用意されていた田楽を食べ終わりそうな勢いだ。

 お兄さんはそんな佐藤くんを横目に見て悔しそうにしている。まだ水を飲んでいる所を見るとむせだけではなくて、口の中に火傷でもしていたのかな?
相当な猫舌なのか?

 そしてついに…。

「佐藤弟ラスト一本だぁ~!それを今…食べ…終わった~!!!優勝は佐藤弟に決定だー!!!!!」

 やった~!!!佐藤くんが優勝だ!!!!!

 おっ…龍が佐藤くんの上にいる!!!

 これってもしかして…。

『良かったな…。あの龍はアイツにつくらしいぞ。』

 姿を現したのは久しぶりの…。

『翡翠!』

『あの龍は元気な奴が好きだから佐藤にはちょうど良いだろう。』

『もしかして翡翠が連れてきてくれたの?』

 仲間を探しに行ってたんだよね?

『あの龍はそうだ。他には紅龍が呼んだ龍などもいるがな。』

 みんなの協力のおかげでこんなに沢山の龍が来てくれていたんだなと思うと胸が熱くなってきたよ。

『泣いているのか…?』

『俺って人にも龍にも恵まれているんだなと思ってたら何か…泣けてきちゃったよ。』

「え?!そんなに俺の優勝を喜んでくれているのか?」

 気がつけば佐藤くんが俺のところまで帰ってきてる。涙を誤解された?でも違うとも言えないしな…。

「八岐くん…そんなに感動しているところ悪いけど、アイスを奢るって言った事を忘れていないよな。」

 ん?やっぱりアイスでやる気に火が付いたのか?!

「もちろん、覚えてるよ。」

「良かった…。今から行こうぜ!」

「え?」

 今、大食い大会が終わったところだよね。あんなに沢山食べていたのにまだ食べるの?

「行くぞ!」

 俺は佐藤くんに引きずられながら会場をでた。

 いや、俺…片付けしないといけないんだけど。

 ちょっと待ってよ~!!!





 






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